第43話「signal」


今日の英単語:signal(シグナル)/意味:合図、信号、兆候



 迷宮の奥へと進んだ俺たちは、救助を求めて倒れていた男――探検隊の一員だという――の仲間を探し続けた。


 “flare”の光は消えたが、俺の心には新たな力が灯っている。

 暗闇を切り裂くその閃光は、次の“signal”を探す鍵になるはずだ。



「静かに。何か聞こえる」

 ジンが立ち止まり、耳を澄ませた。


 薄暗い通路の奥から、微かな金属音が響く。

 誰かが、何かを叩いているような……いや、それは――


「助けを求める“signal”かもしれない」



 俺たちは足音を殺し、音のする方へと進んだ。

 やがて視界が開け、崩れかけた広間が現れる。

 その隅で、複数の人影が見えた。



「誰か、来たのか……?」

 壁を叩いていた若い男が、弱々しく顔を上げた。


「探検隊の仲間か?」

 ジンが問いかけると、男はうなずく。


「“signal”を送ったんだ……壁を叩いて、誰かが気づいてくれればって……」



 その瞬間、俺の辞書本が光り、ページが開かれる。


signal



「“signal”……合図、信号、そして兆候……」


 言葉を口にした時、俺は理解した。

 この世界では、“signal”が命を左右することもある。


 見逃せば、誰かが消える。

 気づけば、誰かを救える。



 男たちは疲弊していたが、命に別状はなさそうだ。

 迷宮の崩落に巻き込まれ、閉じ込められていたのだという。


「俺たちが“signal”に気づけてよかった」

 ミアが安堵の表情を浮かべる。



 だが、その時。

 地下のさらに奥から、低く不気味な唸り声が響いた。


「まだ終わってねぇな」

 ジンが剣を構える。


 “signal”は、救いの合図だけじゃない。

 時には、危険の“兆候”でもある。



「来るぞ――!」


 闇の中から現れたのは、黒い甲殻に覆われた巨大な魔物だった。

 その背には、赤く光る突起が無数に揺れている。



「俺が“signal”を送る」

 俺は力を集中させた。

 “flare”の光に続く、次のスキルを――。


《条件を満たしました》

【スキル取得:Signal】

──意図を明確に伝え、仲間と連携する力。

 また、危険の兆候を敏感に察知できる。



「ジン、正面を頼む!ミア、左から援護だ!」

 俺の言葉に、二人が同時に動く。


 魔物が咆哮し、空間が震えた。

 だが、俺たちの心はひとつだ。



 合図を繋ぎ、兆候を見逃さず、俺たちは敵を撃破する。

 旅は続く。次の“signal”が、また新たな出会いを運んでくるだろう。



✅ 今日の英単語


signal(シグナル)

意味:合図、信号、兆候

例文①:Give me a signal when you’re ready.(準備ができたら合図をくれ)

例文②:The dark clouds are a signal of an approaching storm.(黒い雲は嵐が近い兆候だ)

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