第37話「map」

今日の英単語:map(マップ)/意味:地図、道筋、計画、世界を理解するための図



 暴風と雷鳴の“storm”を乗り越えた俺たちは、しばしの休息を取ることにした。

 濡れた衣服を乾かし、焚き火を囲んでいると、ジンが古びた紙を取り出した。


「ハルト、お前に見せたいものがある」

 そう言って広げたのは、一枚の地図だった。



 古い羊皮紙に描かれた大地の輪郭、川の流れ、街道、そしていくつもの謎めいた記号――。

 俺はその精密さに驚いた。


「これ……ただの地図じゃないな」


「わかるか。そう、これは“map”だ。ただの紙切れじゃない」



 その瞬間、辞書本がまた光を帯び、新たな英単語が浮かび上がった。


map



「“map”……地図」


 俺は言葉を反芻する。

 地図とは、世界の形を理解するためのもの。

 だが、旅をする中で、それが単なる方角以上の意味を持つことを知った。



「この地図……“未知”を埋める鍵でもあるんだな」


 ミアが目を輝かせる。


「知らない場所に行くとき、地図があると安心する。

 でも地図に載ってない場所は、もっとワクワクするんだよね」



 ジンが地図の端を指差す。


「ここを見ろ。“ファングラス”の先、俺たちが今いる場所はまだ地図の範囲内だ。

 だが、その向こう……“エルヴェル遺跡”のあたりから、白紙になってる」


「地図が途切れてる……?」


「そうだ。ここから先は、誰も正確な“map”を描けてない」



 俺の胸が高鳴る。

 未知の領域、それは危険と隣り合わせだが、同時に最大の好奇心をくすぐる。



《条件を満たしました》

【スキル取得:Map】

──未知を理解し、進むべき道を描き出す力。

 不確かな世界でも、自らの足跡を地図として刻める



「じゃあ、俺たちがこの先の“map”を完成させるんだな」


 ジンがニヤリと笑う。


「その通り。旅人は、ただ歩くだけじゃない。“map”を作り、後に続く者の道を示す」


 ミアも拳を握りしめる。


「私たちの旅路を、誰かの希望に変えるんだね」



 俺たちは地図を丸め、再び歩き出す準備を整えた。

 目の前に広がるのは、まだ白紙の大地。

 そこに、俺たち自身の“map”を刻むのだ。



✅ 今日の英単語


map(マップ)

意味:地図、道筋、計画、世界を理解するための図

例文①:A map helps you find your way.(地図は進むべき道を教えてくれる)

例文②:Explorers create maps of the unknown.(探検者は未知の地図を描く)



次回:


第38話「goal」


(地図が示す“目標”。言葉は、旅の終わりと新たな始まりを決める)

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