第16話「path」

今日の英単語:path(パス)/意味:道、小道、進路、選択肢



 “声”を取り戻した村を後にし、俺たちは北の山岳地帯へと歩みを進めていた。

 深い森を抜けると、三本の道が目の前に現れた。


「……分かれ道?」


「いや、“選択の場”かもしれない」


 それぞれの道の入り口には、石碑が立っていた。そこには英語でこう刻まれていた。


Choose your path.

(己の“道”を選べ)



 左の道は、霧に包まれた森。

 中央の道は、陽光が差す山道。

 右の道は、岩だらけの崖。


「どれが“正解”なんだろう?」


 ミアが立ち止まる。


「たぶん、正解なんてない。“選ぶ”ことそのものが意味なんだと思う」


 俺は手にした辞書本を開き、“path”の項目に指を置いた。


path —— 道、小径、進路。

人が歩む選択。あるいは運命そのもの。


「この世界には、誰かが歩いた“言葉の道”がある。俺たちは、それを一つずつ確かめていく旅をしてるんだ」



 そのとき、《Key》のスキルが光を放った。

 中央の道――そこだけ、薄く光のラインが浮かび上がっていた。


「……中央が“今の俺たち”に最も適してるってことか」


「でも、他の道も間違いじゃないんだよね?」


「ああ。きっと、選んだ先にしか出会えない“単語”も、“人”も、“運命”もある」



《条件を満たしました》

【スキル取得:Path】

──選択と進路に関わる力。複数の未来・ルートを見通し、最も適した道を予測・構築できる



「ミア、行こう。俺たちの“path”は、ここから始まる」


「うん。でも、これからもっと難しい選択もあるんだろうね……」


 ミアの声は少しだけ不安げだった。


 その不安を振り払うように、俺は静かに答える。


「……大丈夫。迷ったら、また“言葉”に聞けばいいさ。

 英単語には、いつも“答え”が眠ってる」



 選んだ中央の道は、やがて広い丘陵へと続いていった。

 そこで待っていたのは、一人の旅人。


 ボロボロのコート、杖をつきながら、彼は静かにこちらを見た。


「……“ワードマスター”か」


「知ってるのか?」


「ああ。“言葉で世界を紡ぐ者”よ……お前たちに、試練を与えよう」



 彼が地面に魔法陣を描くと、英単語が浮かび上がった。


choice


「次は“選択”そのものを問う試練だ。

 “path”は続く。だが、選び続ける覚悟が、お前にはあるか?」



 静かに風が吹く。


 人生とは、選び続けること。

 英単語――**“path”**は、進むたびに意味を深めていく。



✅ 今日の英単語


path(パス)

意味:道、小道、進路、選択肢

例文①:She chose a different path in life.(彼女は人生で違う道を選んだ)

例文②:Every path leads to a story.(すべての道には物語がある)



次回:


第17話「choice」


(選ぶことは、時に捨てること。試されるのは、“覚悟”)

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