第8話「guide」

今日の英単語:guide(ガイド)/意味:導く、案内する、導き手



 カイルを退けてから数日後。

 村の復旧も進み、平穏が戻りつつあった。


 そして今日、俺は決断した。


「俺、この村を出て旅に出ようと思う」


 焚き火の前で、ルーク、ミア、長老にそう告げた。


「えっ……旅に?」


「この本のこと、もっと知りたいんだ。きっとこの先、言葉の力を使える奴らもいる。危険も増す」


 俺の持っている“英知の書”——英単語の力を引き出す本。

 それを狙う者が現れたということは、これはただのスキル本じゃない。


「ハルトさんがいなくなるの、寂しいけど……仕方ないですね」


 ルークがうつむく。でも、笑ってくれた。


「なら、私も行く」


 ミアが即答した。


「え?」


「借りは返した。けど、今度はこっちの都合。私は……お前を信じてる。“trust”したんだから」


 それが、彼女なりの言葉だった。俺はうなずいた。



 旅立ちの日。

 村の外れまで来たところで、年老いた女性が近づいてきた。


「あなたたちが旅立つと聞いて、渡したいものがあってね」


 差し出されたのは、小さな羅針盤のような魔道具。

 しかし、ただの方位磁針ではない。


「“Guide Compass”と呼ばれる古代の魔具よ。あなたが“進むべき方向”を、心に応じて指し示す」


 渡された瞬間、その言葉が胸に響く。


guide —— 導く、案内する、導き手


(旅に必要なもの。それは“道”だ)


 俺は、すぐにその単語を理解し、胸に刻んだ。



《条件を満たしました》

【スキル取得:Guide】

──目的地や必要な情報への道筋を示すスキル。地形・感情・危険を含む“心のコンパス”を展開



「ミア、この先どこに向かえばいいか、わかるか?」


「いや、さっぱり」


「俺にも分からない。でも、“Guide”なら——きっと教えてくれる」


 コンパスがふっと動いた。方角は北西。

 まだ見ぬ都市エルノアの方向だ。


「まずは、あの都市だな。英知の記録が残ってるって話も聞いたし」


 ミアがうなずく。


「旅の始まりにしては、上出来だね」



 俺たちは一歩を踏み出した。

 見知らぬ道。未知の土地。新たな言葉と、出会いの予感。


 導かれるのではなく、自ら選んで進む旅が始まる。



✅ 今日の英単語


guide(ガイド)

意味:導く、案内する、導き手

例文:The guide helped them find their path.(ガイドは彼らが進む道を見つける手助けをした)

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