第27話 最後の口付けと悠太の衝動
美咲は、悠太の返事を確認すると、ゆっくりとベッドへと乗り上げた。彼女の体重が、マットレスを微かに沈ませる。美咲は、悠太のすぐ隣に身を横たえると、その腕を悠太の首筋に回した。
「12年間……あんた、本当に諦めなかったわね」
美咲はそう囁くと、悠太の髪を優しく撫でつけた。その指先は、まるで幼い頃、彼が泣き出した時にしてくれた慰めの仕草のようだった。しかし、今は、全く異なる意味を持つ。悠太の心臓が、これまでになく激しく脈打つ。美咲の言葉に、悠太は、彼女が自分の初恋をずっと知っていたことへの衝撃と、それでもなお、こうして彼の前に横たわってくれたことへの、深い感謝が込み上げた。彼は、その感謝の気持ちを、彼女を満たすという形で示そうと決意した。
美咲の顔が、ゆっくりと悠太に近づく。彼女の吐息が、悠太の唇に触れる。そして、美咲の唇が、悠太の唇に、深く、そして熱く重ねられた。それは、莉子のような甘さとも、彩音のような探求とも異なる、情熱的で、しかしどこか切ないキスだった。美咲の舌が、悠太の口内へと滑り込み、彼の舌を絡め取る。12年分の想いが、そのキスに凝縮されているかのようだった。悠太は、美咲のキスに身を委ね、その唇を貪るように応えた。彼は美咲の唇の感触、舌の動きから、彼女が抱える感情の全てを読み取ろうとした。このキスを、彼女への「贈り物」として捧げようと、彼は能動的に、しかし優しく、キスを深めていく。彼の快楽は二の次。ただ美咲が、このキスによって最高の快感と満足を得られることを願った。
美咲の腕が、悠太の身体を強く抱きしめる。Aカップの控えめな胸が、悠太の胸板にしっかりと押し付けられ、彼女の身体の温もりが、悠太の全身を包み込む。彼女の肌からは、太陽の香りがした。それは、幼馴染と過ごした、何気ない夏の日々を思い出させる香りだった。
悠太は、美咲の華奢な背中を優しく撫で、彼女の引き締まった腰を抱きしめ返す。彼女の身体の曲線や肌の感触を丁寧に確かめるように愛撫する。美咲の身体が、悠太の指の動きに合わせて微かに震えるのを彼は感じ取った。その震え、彼女の呼吸のわずかな乱れ、そして胸が彼に押し付けられる圧力の変化から、美咲が感じる快感を読み取ろうとする。悠太は、彼女の敏感な場所を探るように指を滑らせ、彼女がより深く身を委ねられるよう、腕の力を調整した。彼は、彼女の肌のどこが特に熱を帯びているのか、どの部分が微かに粟立っているのかを、指先と掌で丹念に探った。
その間も、莉子と彩音は、静かに二人の様子を見守っていた。美咲の冷静な表情の裏に、微かに揺れる感情の波が読み取れる。莉子の瞳は、どこか遠い目をしており、彩音は、眼鏡の奥で瞬きもせずにその光景を見つめていた。部屋の空気は、彼らの交じり合う吐息と、微かな肌の摩擦音によって、さらに熱を帯びていく。悠太は、美咲とのこの行為が、他の誰にも踏み込めない、彼ら二人だけの「清算」の儀式であることを深く感じていた。彼の全ての意識は、美咲を満たすことに捧げられていた。
美咲は、キスを中断すると、悠太の耳元に唇を寄せた。その声は、甘く、そして容赦なかった。
「……全部、受け止めるから。だから、ここで、綺麗に清算しなさい」
その言葉は、悠太の心を深く抉った。彼の長年の想いを、彼女がすべて知っていて、そして、この場で完全に終わらせようとしている。美咲の瞳には、かつての自分に対する、諦めにも似た、しかし深い理解と優しさが宿っていた。悠太は、美咲の言葉の重みに、息を呑む。彼女が指し示す「清算」の意味を、彼はこの身で理解し、受け入れなければならない。悠太の身体は、美咲の言葉の通り、彼女の意図に全面的に応えようとしていた。彼自身の快楽は二の次。ただ、美咲がこの行為によって、心から解放され、全ての想いを「清算」できることだけを願った。
美咲の手が、悠太の身体を撫でる。その指先は、迷いがなく、的確に悠太の敏感な場所を探っていった。彼女の指が、悠太の陰茎を、コンドームの上から、優しく、しかし確かな力で包み込む。美咲の親指が、根元から先端へと滑り、悠太の全身に甘い痺れが走る。悠太自身の快感は確かに高まるが、その意識の大部分は、彼女が感じる快感へと向けられていた。彼は、美咲が自分の身体をどう扱いたいのか、何を求めているのかを、その指の動きから読み取ろうと集中する。悠太は、美咲の指が陰茎を愛撫するリズムに合わせて、自身の腰を微かに動かした。彼女が快感を得やすいように、自らも身体を使って応えようとする。美咲の呼吸が、わずかに熱を帯び、その吐息が悠太の肌に触れるたび、悠太は彼女の興奮の度合いを感じ取った。彼は、彼女の腰を支えるように手を滑らせ、さらに深く、彼女の身体が求める熱を探り続けた。
美咲は、悠太の陰茎を握る手を緩めると、代わりにその指先で、コンドームの表面をゆっくりと撫でた。その指の動きは、単なる愛撫というよりも、まるで彼の身体と、そこにある「悠太の想い」を、一つ一つ確認していくかのようだった。
「あんた、本当に不器用なんだから」
美咲は、そう呟くと、悠太の顔を見上げた。その瞳には、かつての彼に対する、諦めにも似た、しかし深い理解と優しさが宿っていた。彼女は、悠太の汗ばんだ額に、そっと自分の唇を押し付けた。そのキスは、身体的な快感とは異なり、彼の心の奥底に、静かな波紋を広げた。
美咲は、悠太の胸からゆっくりと身体を離すと、彼の足元へと移動した。悠太は、彼女の次の行動を予測するように、息を詰めて見守る。美咲は、悠太の足首を掴むと、彼の足を広げさせた。そして、悠太の股間に視線を向け、コンドームを被った悠太の陰茎を見つめた。
彼女は、悠太の陰茎を、手のひらで包み込む。その感触は、莉子のような無邪気さでも、彩音のような知的な探求でもなく、まるで、彼の一部を慈しむかのような、温かく、そして確かな重みがあった。美咲は、その唇を、コンドームを被った悠太の陰茎の先端へとゆっくりと近づけていく。
「これで、本当に、終わり」
美咲は、そう呟いた。その声は、微かに震えていたが、その瞳は揺るぎなかった。そして、彼女は、悠太の陰茎の先端を、自身の唇で深く包み込んだ。ひんやりとしたコンドームの薄い膜越しに、美咲の柔らかな唇と、温かい口内が、悠太の陰茎を包み込む。莉子とは異なる、大人の女性のような、しかしどこか切ない情熱が、悠太の身体に伝わった。悠太の身体は、美咲の巧みな口の動きに抗いがたく、快感の波に飲み込まれそうになる。自身の快楽は二の次であるはずなのに、長年焦がれた美咲の唇が直接触れることで、悠太の理性が揺らぐ。しかし彼は、その衝動を必死に抑え込み、ただ美咲が、この行為によって最高の満足を得られることに集中しようと努めた。彼の身体は、美咲の口の動きに合わせて、無意識に微かに浮き上がり、彼女がより深く、より心地よく行為を続けられるように、彼なりのサポートを示していた。
美咲の口の動きは、とても巧みで、悠太の快感を直接揺さぶるものだった。吸い上げるような動作、舌の先でコンドームの表面を丹念に愛撫する動きが、悠太の脳髄を痺れさせる。悠太の腰は、彼女の動きに合わせて、激しく浮き沈みした。
「んんっ……美咲……っ!」
悠太の喉から、苦しげな、しかし甘い呻き声が漏れる。美咲は、彼の身体の反応を敏感に感じ取り、口の中での動きをさらに速めた。そのたびに、悠太の全身に電撃が走り、快感の波が次々と押し寄せる。悠太の視界は、快感によって白く霞み始めた。しかし、彼の意識は、美咲の表情のわずかな変化、彼女の喉から漏れる微かな音、そして彼女の呼吸の速さに向けられていた。彼女の快感が最高潮に達していることを確認するために、自身の意識を保とうと必死だった。その間も、悠太の指は美咲の髪に絡みつき、彼女の頭を優しく支える。彼の腕は、美咲の頭を自身の股間へと誘い込むように、無意識に、しかし優しく動いていた。
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