第17話 12年間の想い、交錯する唇

彩音との「初体験」を終えた悠太の身体は、深い余韻に浸っていた。莉子の無邪気な情熱とは異なる、彩音の知的な愛撫は、彼の身体の奥底に新たな感覚を呼び覚ました。虚脱感の中にも、確かに彩音との「繋がり」を刻みつけたという充足感が残っている。彩音は、莉子の隣に静かに横たわり、満足げに目を閉じている。二人の規則正しい寝息が、夏の午後の気だるい空気に溶けていく。部屋の窓から差し込む夕日は、オレンジ色に傾き、彼らの肌を淡く照らしていた。


悠太は、ゆっくりと美咲に視線を向けた。彼女は、変わらずベッドの傍らに立っていた。学校の夏服のブラウスに腕を組み、涼しげな表情は崩れない。しかし、その瞳の奥には、彼らの行為を冷静に見守ってきた観察者の顔だけでなく、どこか複雑な感情が揺蕩っているように見えた。それは、かつての幼馴染への想いか、あるいは、彼らの進むべき未来への覚悟か。悠太の初恋の全てを知り、そしてそれを清算しようとする、美咲自身の深い決意が感じられた。


美咲は、悠太の視線を感じ取ると、静かに口を開いた。その声は、いつも通りの、グループを仕切るリーダー然とした響きがあった。しかし、その声の奥には、微かな緊張と、これから始まる「清算」への、強い意志が感じられた。


「さあ、悠太。最後の仕上げよ」


その言葉に、悠太の心臓が大きく跳ねた。いよいよ、美咲だ。12年間、ずっと見つめ続けてきた初恋の相手。彼女との「清算」が、今、まさに始まろうとしている。悠太の身体に、新たな緊張が走る。美咲の瞳には、一切の迷いがなかった。


美咲は、ゆっくりと自身の制服に手をかけた。まずは、紺色のスカートのホックを外し、するりと腰から滑り落とす。その姿は、簡潔で無駄がなく、美咲らしい合理性を感じさせた。スカートが床に落ちる小さな音が、この密室に響き渡る。


次に、白いブラウスのボタンに指をかける。ボタンが一つ、また一つと外されるたびに、シンプルで機能性を重視したスポーティな白の綿系のブラジャーが、悠太の視界に現れる。Aカップの控えめな膨らみが、彼女のしなやかな身体のラインにぴったりとフィットしていた。ブラウスの隙間から覗く肌は、健康的な小麦色を帯び、美咲の活動的な一面を物語っているようだった。


ブラウスが肩から滑り落ち、美咲の白い肌が露わになる。その身体は、引き締まっていて、無駄な贅肉がなく、しなやかな筋肉のラインが美しい。彼女の首筋から肩甲骨にかけてのラインは、まるで彫刻のように精緻だった。悠太は、その完璧なまでに整った身体に、息を呑んだ。


美咲は、一瞬だけ悠太の視線を受け止めた後、最後に、ショーツにも手をかけた。簡素なデザインのショーツが、彼女の臀部から太ももへと、ゆっくりと滑り落ちる。そして、床に落ちたショーツは、彼女のスカートやブラウスの上に、静かに重なった。


美咲は、シンプルで洗練された白の綿ブラとショーツ姿となった。身長165cmの彼女は、悠太を見上げるような形で、ベッドの縁に静かに立った。その姿は、華奢でありながらも、強い意志を感じさせた。彼女のAカップの胸は、ブラジャーの中で主張することなく、しかし確かにそこに存在していた。


「……準備は、いい?」


美咲は、悠太の目を真っ直ぐに見つめ、そう問いかけた。その瞳には、彼がこれまで抱いてきた初恋の全てを受け止め、そして終わらせようとする、揺るぎない覚悟が宿っていた。それは、彼の長年の想いを、この行為によって「清算」するという、美咲なりの儀式だった。悠太は、言葉を失い、ただ小さく頷くことしかできなかった。彼の身体からは、先ほどまで莉子と彩音との行為で感じていた快感の余韻が消え、代わりに、美咲との「清算」に対する、新たな、しかし重い緊張感が、全身を支配し始めていた。彼は美咲の身体を改めて見つめ、幼い頃から見慣れたはずの彼女が、今、目の前で、最も女性として魅力的に映ることに、自身の心境の変化を感じていた。彼女を最大限に満たし、この「清算」を最高の形で終えたいという、男としての欲求が、悠太の心に強く芽生え始めていた。彼の快楽は二の次。ただ美咲の満足だけを追求する、献身的な意識が彼を突き動かしていた。


美咲は、悠太の返事を確認すると、ゆっくりとベッドへと乗り上げた。彼女の体重が、マットレスを微かに沈ませる。美咲は、悠太のすぐ隣に身を横たえると、その腕を悠太の首筋に回した。


「12年間……あんた、本当に諦めなかったわね」


美咲はそう囁くと、悠太の髪を優しく撫でつけた。その指先は、まるで幼い頃、彼が泣き出した時にしてくれた慰めの仕草のようだった。しかし、今は、全く異なる意味を持つ。悠太の心臓が、これまでになく激しく脈打つ。美咲の言葉に、悠太は、彼女が自分の初恋をずっと知っていたことへの衝撃と、それでもなお、こうして彼の前に横たわってくれたことへの、深い感謝が込み上げた。彼は、その感謝の気持ちを、彼女を満たすという形で示そうと決意した。


美咲の顔が、ゆっくりと悠太に近づく。彼女の吐息が、悠太の唇に触れる。そして、美咲の唇が、悠太の唇に、深く、そして熱く重ねられた。それは、莉子のような甘さとも、彩音のような探求とも異なる、情熱的で、しかしどこか切ないキスだった。美咲の舌が、悠太の口内へと滑り込み、彼の舌を絡め取る。12年分の想いが、そのキスに凝縮されているかのようだった。悠太は、美咲のキスに身を委ね、その唇を貪るように応えた。彼は美咲の唇の感触、舌の動きから、彼女が抱える感情の全てを読み取ろうとした。このキスを、彼女への「贈り物」として捧げようと、彼は能動的に、しかし優しく、キスを深めていく。彼の快楽は二の次。ただ美咲が、このキスによって最高の快感と満足を得られることを願った。


美咲の腕が、悠太の身体を強く抱きしめる。**Aカップの控えめな胸が、悠太の胸板にしっかりと押し付けられ、彼女の身体の温もりが、悠太の全身を包み込む。彼女の肌からは、太陽の香りがした。それは、幼馴染と過ごした、何気ない夏の日々を思い出させる香りだった。**悠太は、美咲の華奢な背中を優しく撫で、彼女の腰を抱きしめ返す。彼女の身体の曲線や肌の感触を丁寧に確かめるように愛撫する。その指先は、美咲の身体が微かに震えているのを感じ取った。彼女の冷静な表情の裏に、確かに情熱が燃え盛っていることを悟り、悠太はさらに深く彼女を満たしたいと願った。

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