台風一課

まえとら

台風一課

台風一過。

台風が通り過ぎ、空が晴れ渡る。

青空がまぶしい。



ビュービュービュー

ザザザザー、ザザザザー。


「あはははは! もっと吹けー! もっと降れー!」

ものすごい風と雨。

大型の台風が上陸する。


子供の頃、なぜだろう。

台風の日は胸が高鳴った。

自分の力をはるかに超える自然の力に圧倒されながらも、

その力がまるで自分に備わったかのような感覚が、ただただ楽しかった。


親に頼んで、北上する台風を追いかけたこともある。

ご近所さんからは、「台風一家だね」なんて言われた。


けれど、年齢を重ねるにつれ、そんな無邪気な気持ちは薄れていった。

次第に、台風のもたらす甚大な被害に恐怖を抱くようになった。


この国では、かつての気候とは異なり、台風の発生が増えて久しい。

それに伴い、被害も深刻化している。



台風の被害現場へ駆けつけ、復旧作業の指揮を執る——

それが今の私の仕事だ。

役所の「台風一課」。



台風が過ぎ去り、青空がまぶしい。

台風一過。


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台風一課 まえとら @mae10ra

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