『守るってことを知らない竜になり触れるものすべてがしゃぼん玉』
守ることを知らない竜。それは竜孤独さと強さを象徴するようで、大きな体に鋭い鱗を持った、人々から恐れられている竜なのでしょう。
その竜の印象がしゃぼん玉という言葉によってパッと変わり、優しく臆病で人間なんて襲うわけがない竜の存在が頭に浮かびます。凶悪な竜がしゃぼん玉という可愛らしい存在を知っているわけがないし、本当に人々から恐怖の対象として見られているのであれば、しゃぼん玉というファンシーな表現はしないと思います。
守ることを知らないことは誰かによって守られてきたことでもある。そんな竜が作り出すしゃぼん玉を人々たちがどのように受け取るのか。
そんな気はなくても、自分の大きな体を動かせば、様々なものがしゃぼん玉と化してしまう、竜の葛藤や自己嫌悪。
竜としゃぼん玉という恐ろしくもやさしくも感じられる組み合わせの二面性が魅力的でした。
素晴らしい作品をありがとうございました。