ー記憶の撮る勇者の名はー‼︎ 『名無しの勇者』の少年の人生を描く異世界ファンタジー!

みかづきん

第1話 見慣れないスキル

この世界では魔法に科学に様々な文明が大陸ごとに進化していた。


ースキル

この世界でもスキルは体の一部と言われるほど大切なもので、

更に、

「スキルが派手であればあるほど強い‼︎」

という謎の世界の法則がある、そんなスキルは生まれた頃から決まっているのに14になるまで使えないため分からないという欠陥を抱えている。


そんなスキルは教会の神父様による正式な手順で水晶玉に名前が映されるスキル審査にて初めて知るのが多い。


ーある村にて


1人の青髪のウェーブがかかった少女のスキル審査の時だった。


神父が珍しく困惑していた。


「魔力…増大?…」


その言葉を聞き周りにいた大人に子供が騒ぎ始める

「初めて聞いたぞそんなスキル?」

「魔力増大…?」

「どーせ旅にも出ない待ちます何しちゃあ…贅沢そうなスキルだな〜」


あたりの悪気ない言葉のざわめきが、まだ齢14の少女、メゼリーを縮こませる。


「おい‼︎さっきからうるさいぞ‼︎」


1人の少年が彼女の前に出て沈める。


白い髪の癖っ毛のウルフカット、上の癖が二つは猫のままのようになっており、ぱちっと大きい黄色い瞳に、少女よりも少しだけ背の小さい、何だか桂を被り女装させたら少女と間違えてしまいそうな少年

その少年の名はルイラであった。


「ただでさえこちとら緊張しながら神父様の言葉を待ってんだぞ!聞き馴染みないのに困惑したかもしれねえけどよ!強そうじゃねえか

「魔力増大」‼︎

……スクナクトモ、オレヨリハカッコイイシツヨイシ…」


最後に小さく言われた言葉を村のみんなは見逃さなかった。


「おいルイラ!お前はスキルなんだったの?」


「「草刈り」か?あれは草むらでの探し物に便利だから恥ずかしくねぇぞ!」


そうジョークを交えて笑いが混み始めた中、ルイラは苦虫を噛み砕いたような顔して言う


「き、記憶録画…機能…」


「………」


「………」


「……?」


「…ロクガって何だべ?」


「こっちが知りてえよぉぉぉぉお‼︎‼︎

うわぁぁあん‼︎‼︎」



この後ルイラは泣き続けながら村の男に回収された。



そう、皆さんはもう気づいたであろう。


これの主人公はメゼリーという少女…


ではなく


これはまだ録画と言う技術がまだない中、いきなり世界一大切なスキルに先に形になって、それを使い方も知らないまま付与された少年・ルイラが主人公である




この世界で己のスキルが理解できなくて苦労するのは少ない事ではない。その為「スキル解説書」と言うあらゆるスキルが書き示されている本があり、基本そこから類似なものを探し、そこからヒントを得て徐々に慣れていく。


…のだが


「そもそも「動画」と言うのがどう言うのか理解あんまりできてねえし…、似ているのかすらあんまりわかんねえよ…。」


ルイラは図書館の机で分厚い本を元の位置に戻しため息を吐く。



「でも素敵だと思うよ、他の人にないんだもの、きっと素敵な使い道が見つかると思うし」


先ほどの少女、幼馴染のメゼリーが隣で一緒にしゃがみながら言う。


「そうは言っても…ギルド登録の時に笑われないかなぁ…」






「ギルド」

この世界にもギルドというものは存在しており、

ギルドに登録する際はスキルの確認は必ずされる。それによりギルド側から冒険者に合わせた仕事やミッションを言い渡されるため必要となるのだ。




しかし…






「詳しく分かってもないし…こんな見たことのないスキル保持者を、信用してくれるわけないよ…」



ルイラは図書室を出るとハァァっと深いため息を吐き、その場でしゃがむ。


メゼリーは苦笑いを上げながらも、直様ニコッと笑いながら横からルイラの顔を覗く


「じゃあさ、他の冒険者の人と組んで、その人がもらった仕事を一緒にこなせばいいじゃん!それなら難しいミッションでも、剣が得意なルイラなら力を貸せるでしょ!」

「それだ〜〜‼︎‼︎」


ルイラはいきなりヒョイと立ち上がりメゼリーの肩を掴む。

彼女は驚き目を見開くもほんのり顔を赤く染める。


「…でも…、」

ルイラは先程の笑みが段々と消えまた項垂れる。

「俺、ミミやんもトッキーも、村残るって断られてるんだよな…」


ミミやん、トッキーのルイラの友人である二人は家の店を継ぐとのことだ。


元々孤児であったルイラは跡継ぎなど関係なかったが、本来14の男は大体家を継ぐか、手伝うか何択なためしょうがないことではあるが、


ルイラは分かりやすく塩らしくなる。


「一緒に来てくれるメンバーなんていないよ…」


メゼリーはその言葉を聞き、やれやれと言いたげに、しかしそれでいて笑みを浮かべながらルイラの下向いている顔をぐいっと上に向かして目を合わす。


「それならさ…」

メゼリーの瞳がキラキラとしている。


「私もルイラと冒険者になるから連れてって‼︎」


「…えっ⁇、えっ‼︎」



こうしてルイラには早速パーティメンバーとなる仲間を一人目、メゼリーを手に入れた。








準備はあっという間に終え、

二人は簡単な用具一式を揃えると育った村に大きく手を振り歩き出す。





森を抜けて、川を二、三個越えた辺りである。ルイラはふと気になる。


「…メゼリー」

彼は足を止めて前へ前へと進んでいたメゼリーを呼び止める。

彼女はキョトンとした顔で振り向くと、ふっと力が抜けてしまいそうな柔らかな笑みを浮かべる。


「どうしたの?ルイラ?」


ルイラは少し幼きあの頃と違い立派に無自覚で天然タラシな幼馴染少女にドキりとし、顔を少し赤くしながら何とか聞く。


「いや…お前はさ…村残らないでよかったの…?」


「?、どうした?」


彼女は本当に心底不思議そうな顔してルイラを見つめたのち、ふと目を大きく見開き、プルプルと杖を握りしめて震える。


「やっぱりついていかれるの迷惑だった…?」


「違う違う‼︎そんな事じゃ無い‼︎」


ルイラは慌てて両手を横にブンブンと振り否定する。


「俺がそう思ったのは、お前は前から、『この村の役に立つのが夢なんだ』って言ってたから…」


ルイラは真剣な表情で彼女を見つめる。


「もしかしてさ、本当は出たくなかったんじゃないかって…」


そう言うとメゼリーは一瞬キョトンとした顔になる。


「…クッ、」


「?」


「ンフフ、そんな心配してたの?変なルイラね!」


「ムッ」


ルイラは本気に心配した割には随分と冗談みたいに扱われ頬を膨らます。


「俺でも気を使ったり申し訳なく感じたりはあるんだぞー!それなのに…」


「だって、じゃあさ、逆に聞いてもいい?」


メゼリーはいきなり振り返るとグイッとルイラの顔に近づく。

それは思春期の男子にとってドキドキしてしまうのは当たり前なぐらいに近い、


「どうした私が、ルイラに付いていったと思う?」


「あっ、えっ?えっとそれは…」


ルイラの顔はだんだんと赤くなる。

しかしメゼリーはヒョイっとルイラから二、三歩下がり東の空を杖で指す。


「ねえ見てよルイラ!あそこの星!夕方なのにもう出てる‼︎」


彼女が指す方には確かに星がある。まだ辺りが眩しいからかその星の輝きは鈍いものの、はっきりと見えるぐらいに光っている。


「…綺麗だ」


ルイラは思わずその言葉を溢すとメゼリーは満面の笑みを浮かべ、少し先まで行くと大きく手を広げる。


「私ね‼︎昔から星も花も、キラキラしたものがすっごく好きなの‼︎だからお願いルイラ!」


彼女はキラキラとした目でルイラの手を握る。


「これから先、たっくさん冒険しよう‼︎たっくさん素敵なものを見ていこうよ!」


「もしもさ、嫌な事、めんどくさい事、色々あっても私は…


ルイラのそばにいるよ」




そう言う彼女はニカっと眩しい笑みを浮かべている。

太陽が沈み照らされているその姿は誰よりも輝いている。







さて、少し言い忘れていたことがあるから言おう


この物語は、

少年ルイラ…


将来「名無しの勇者」と語り継がれる英雄の半生を描く物語である。




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