第2話 常識知らずかもしれない
「これ私の分も作っておいて。」
私は一応友達と通称言われている生物に伝えた。
すると、担任の"先生"に呼び出された。
「どういうつもりだ?」
激昂するでもなく、ただ私の目をじっと見つめて、メラメラと怒りの炎を奥に潜ませて話している。
そんな先生のごく正しい言い分は
自分でやらなければいけない授業の課題を他の生徒にやらせるとは、どういうつもりだと言いたいのだろう。
おそらく、自分のことを女王様だと勘違いしているように見えたのかもしれなかった。
実は本当は真逆だった。
自分なんかよりも、他の人が作った方が、素晴らしいものができると思っていたから、自分の物なんか残すべきじゃないと思ったから任せた。
ふと窓の外を見ると、スズメが小さい足でチョンチョンと歩いている。
「か、かわいい」
思わず口にしてしまった。
この緊迫した状況で、無類の動物好きが発動してしまったのである。
「ん?窓の外にすずめでも見えたか?」
私はギクリとした。
この担任はメンタリストか何かかな。
「お前は本当に血は繋がってはいないが、娘みたいだな。」
呆れて先生も笑う。
「ごめんなさい。やっぱり自分のために出された課題は、自分の実にするべきでした。」
友達にも会いに行こう。会って謝ろう。
いつもこうだ。
可愛いものを見ると、邪悪で暗い私はどこかへ飛んでいってしまう。
「そうだな。友達にも謝りに行くんだろう。きちんと心の言葉を伝えろよ。」
やっぱりメンタリストなんだ。
窓のふちをチョンチョンしていたすずめは、ピョンっと跳ねると大空へ向かってパタパタ飛んでいった。
_____
「ごめんね。誰も進んで他人の分までやりたくなかったよね。自分勝手でごめんなさい。」
友達に心の言葉で謝った。
「あー、、、うん。」
友達は何とも嫌そうな顔をしていた。
あれ?ここから友情ストーリーが始まる予感がしていたのに。
心の中のどす黒い何かがまたチラリと顔を出してきた。
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