いま、外には雨があります。
だからかなあ、とも思ったのです。
でも、真っ暗な夜でも、目をこすりながら読んだ夜明けでも、変わらなかった。
この物語に触れているときに肌に感じる柔らかな湿度、たくさんの匂い、雑踏の音。
彩度をすこし落とした、だけどトーンカーブが強くつけられた、たくさんの光たち。
わたしは通りがかったんです。
傘をさして、裾への跳ね上げを気にしながら、道のむこうの二人に気づいたんです。
物語を読んでいたんじゃない。
わたしはすれ違ったんです。
二人の、素敵な昨日と、今日と。
そうして、ずうっと続く明日に。