花神を祀る国、物語の舞台を語るのにふさわしい美しい文章で綴られた物語。
幻想的な世界と、そこに住む神と巫女、神官たち。
美しい彼らは、必ずしも美しく清らかなわけではなく、ヒロインは苦悩の中に落とされています。
花神の妻となるはずだった彼女は人々の醜さに傷つく中で、とある男性に出会います。謎めいた彼との逢瀬に心を揺らすヒロイン。
誰が味方で、誰が敵なのか。
どこからが真実で、どこまでが虚構なのか。
偽りの張り巡らされた世界でヒロインは真実を取り戻すために戦います。
文章の美しさと謎めく物語の構成も素晴らしいのですが、やはりこのロマンチックな世界に浸らせてくれるストーリーとキャラが良い!
ヒロインを支え守り続けるヒーローの魅力にノックダウンされてしまいます♡
あらゆる言葉に物語の謎が隠されています。その意味を見つけると唸ってしまうこと請け合いです。
そして、ぜひ、この美しい世界を堪能してくださいませ!
神の花嫁候補として後宮入りした主人公が、ヒーローへの想いを貫きながら奮闘する和風ロマンスファンタジーです。
タイトルにある「偽り」が何を指しているのか、本当の敵は誰なのか、読めない展開に最後までドキドキさせられました。
豊かな自然と特殊な世界観を余すことなく表現する美しい文章で、序盤から読者を一気に物語の中へと引き込んでくれます。
その中で息づくキャラクターたちもまた魅力的であり、ストーリーを進めるために配置されたような薄っぺらい人物は出てきません。
主人公も、敵も、味方も、皆ちゃんとした人間です。
各々が自分の意思を持ち、考え、行動した末に掴んだ結末に、胸が温かくなりました。
登場人物全員の幸せを願いたくなるような、繊細で綺麗な物語です。
読了後すぐ、まだ興奮で震える手でこれを書いています。
物語の筋は紹介文なりキャッチで知ることができると思いますので、省略します。
わたしが伝えるべきは、このおはなしの、とんでもない凄さ。
最初のうちは、ああなんてきれいな文章なんだろう、楽しいなあ、嬉しいなあって、わくわくしながらコメントを入れさせていただいてたんです。
でも、中盤以降はただただ、次を追うことに夢中になってしまいました。感想を挟む間がなかったんです。そうしてとうとう、そのままラストに辿り着いてしまいました。それくらい、すごい物語でした。
凛とした涼やかな文章で、情景から一歩引いたように描写される美しい世界。そこで起こるさまざまなできごとも、登場人物たちも、たんに話を進めるだけの存在ではありませんでした。引き込まれ、ページを送る手を止めることを許さない極上のドラマ性。そのドラマを支える個性的で魅力的で、ぜんいん愛さざるをえないようなキャラクターたち。
そうして、結びの一文の、美しさ。
すごかった。
ぞぞぞってしました。
和風ロマファン好きの方も、初めてだよという方も。
絶対に楽しんでいただけると思います。
どうか、どうか。
神の花嫁候補として、八歳で後宮入りした澄珠(すみ)。
花神である千夜と共に幼い頃を共にして、互いに信頼だけではない何かを確かに紡いでいたように見えました。
しかし現在、寵愛は澄珠の妹の琴が享受する日々。
澄珠の苦しみがありありとして、記憶の中にある思い出がまた、澄珠を苦しめているようにも見えました。
二人の姿は幼く微笑ましくも、淡い想いの色が確かにあったような――そんな事ばかりを考えて、お話の先が気になって仕方がありませんでした。
そんな時に澄珠の前に現れた花影。
千夜に似ているけれど違う人。
花影と過ごす花庵の時間は淡い思い出の色を取り戻したかのようです。筆者様のうっとりとするような文章と共に、より二人の関係は魅力的な時間。
澄珠と花神千夜と花影。そして、後宮に渦巻く思惑。他にも様々な要素が散りばめられ、結末も見逃せません。
花の香りが今にも漂うような流麗な文章で綴られ物語。
オススメです。