第1話 加納口の戦い①
天文13年(1544年)年8月28日
早朝。吉法師は
ーーーシュッ!…シュッ!
(戦か……。いくら前世のスキルを使えるとはいえ。)
ーーースゥ…ッ
(
吉法師は三つあるスキルの一つ、
しかし問題があった。
ーーーブウォン!
「イテテて。一回でこれだ。やはり子供の身体だと、すぐに限界がくるな。」
吉法師は思う所があった。
以前の世界と比べて、こっちの世界の人間は身体能力のベースが低い。おそらく大人になっても常時、スキルは使えないだろうと。
「どの道、負担を少なくする為に鍛錬は欠かせない。」
ーーーカシャカシャッ…
そう考えていると甲冑特有の音が聞こえてくる。
「精が出ますな。若。」
「来たか。
「はい。出陣いたします。まずは
「そうか…分かった。」
すでに門の外で兵達が待っている。
吉法師は一人一人の顔を確認する。
「皆んな。これから大きな戦が起こる。
十歳とはいえ、
農民も多く出兵する中、吉法師は頭を下げた。
兵達が声を上げる。
「若様。頭を上げて下さい。」
「若様に何度も助けて貰いました。その恩を返す時が来たと思えば斎藤なんて楽勝ですよ。」
「そうです。
「私達がいない間は頼みましたよー。」
「寂しがるので、たまに子供達と遊んで下さいね。」
(なんで私が元気付けられてるんだ。皆んな戦場に行くのは怖いはずなのに。)
「分かった。ここは任せて欲しい。皆んなの帰りを待っているから、絶対戻ってくるのだぞ。」
隣にいた
「何を笑っている。
父上の頃からの重臣として長年仕えてきた。
「ハハハッ。そうですな。若様は元服もまだです。教える事はまだまだありますから、必ず戻りますよ。それに
「父上との約束?」
「それは帰ってきた時に話しましょう。では、行って参ります。」
「「「出陣!!!」」」
こうして
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その日の夜。
吉法師は縁側で1人考え事をしていた。
(戦場に行くのを見送る立場も辛いものだな。そして戦いが終わるまで待つのも……。前世では経験しなかった事だ。どうか皆んな無事に戻ってきてくれよ。)
「ん?殺気!?誰だ!出てこい!!」
ーーーガサッガサガサッ
考え事をして近くに来るまで気が付かなかった。
全身黒ずくめの、2人の刺客。
明らかな敵、そして狙いは吉法師。
「どこの刺客だ?誰に命令された?」
「……。」「……。」
「答えないか…そりゃそうだ。その殺気と短剣を抜いてるって事は殺すつもりなんだろ?早くかかって来いよ。こっちは素手だぞ。」
2人の刺客は言葉に出さないが同じ事を感じていた。
こいつ本当に10歳になったばかりの子供か?と。
仕事の内容は簡単なものだと聞いていた。兵が少なくなった所に内部から案内して貰い、子供を殺すだけ。
優秀な子供と聞いていたが、所詮は子供。何度も修羅場をくぐり、暗殺してきた自分達に敵うはずがないと。
しかし…目の前にいるのは何だ?
少し洩れた殺気を感知し、普通なら逃げるか、命乞いするかの2択なのだが、短剣を持つ私達に素手で挑もうとしている。
それが逆に手を出せないでいた。
「来ないなら、こちらからいくぞ。」
(
刺客には挟まれている状態。
スキルを発動し、まず1人に狙いを定める。
「まずは右から。」
吉法師は地を蹴った。
「ぶふぉっ。」
ーーーバタンッ
(まず1人。次。)
1人を気絶させ短剣を奪った。
「なかなか良い短剣を使ってるね。ここら辺では名の知れた暗殺者なのかな?誰が依頼主か正直に言えば命までは取らないよ。どうせ命令されたか、お金を積まれて受けただけでしょ。」
「暗殺者を舐めるなよ。ガキが。」
今度は刺客の方から動いた。
素早い身のこなし。
フェイントを織り交ぜてくる。
ーーーキン!カン!キキン!
それでも難なく全ての攻撃を防ぐ。
「早く言ったらどうだ?斉藤か?それとも今川か?」
「くっ……。」
ーーーキン!キン!
「そう。言わないのか…仕方ない。」
そう言って、心臓に短剣を突いたのだった。
「勝つには勝ったが…スキルの反動が。明日は筋肉痛確定だな。」
刺客の一人は気絶させてある。
(さて、
その後、
そして、気絶している暗殺者は、
情報を得られればいいのだが……。
期待せず待つとするか。
何か嫌な予感がするが、杞憂である事を願おう。
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天文13年(1544年)9月3日
合計で『戦力25000人』が集まった。
「出陣!!!!」
そして
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