DAY27 しっぽ

 アレックスのしっぽは、他の犬よりちょっと太い。ごんぶとしっぽのごん、とみんなは呼んでいるけれど、僕はちゃんとアレックスのことをアレックスと呼ぶ。何故なら、アレックスは僕の犬だから。


 今日はアレックスを連れてドッグランへ行った。


「よし、ごん。行け」


 パパがアレックスにそう言う。アレックスは嬉しそうに太いしっぽを振って、ドッグランを駆けだした。


「ごんじゃないよ、アレックスだよ」

「いいや、あいつはごん太だ。あいつ自身がごん太って名前を気に入ってるから」

「そんなことないよ!」

「それじゃあ勝負するか?」


 僕はパパと勝負することになった。名前を呼んで、やってきたほうの勝ち。


「おーい、アレックス!」

「ごん太、こっちに来い!」


 すると、アレックスは一目散にパパのところにやってきてお座りまでした。


「ほら見ろ、ごん太だろう?」


 僕は悔しくなったけれど、アレックス、いやごん太が選んだ道だ。


「わかったよ、ごん太」


 僕が頭を撫でると、ごん太はわんと返事をした。

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