DAY21 海水浴★

 俺は海の家でバイトをしている。


 昼間の客はガキだのカップルだので至って平和だ。焼きそばとかかき氷とかで喜んでくれるんだもの。浮き輪の空気なんかぷしゅーってすればもう俺はヒーローだ。


 日が沈んでからはイキった地元のヤンキーとの闘いだ。花火で砂浜を汚す奴らをゴルアとしばき倒して、俺は花火のカスを拾う。まったく、砂浜はきれいに使ってもらいたいぜ。


 お、夜の客がやってきた。俺をここのバイトに紹介してくれた俺の上司だ。なんかめっちゃ鼻血出してる連れがいるな。


「ちょっとこれ、借りるよ」


 俺の上司が浮き輪の空気入れを手に取った。あの一瞬でぷしゅーって空気が入る奴だ。


「おい、北村さんとこからいくら持ってったんだ?」

「し、ししし知ら、知らない……」

「知らないはずないだろう、あの部屋に入れるのはミカとお前だけだ。お前がミカに入れてもらったのはミカが吐いてるぞ」

「だから、知らない……」

「どうも口が重いようだな、軽くしてやるか。ケツだせ」

「ひええ、やめ、やめ……」

「ちょうどよく鉄板もかき氷マシンもあるな。どれがいい?」

「わかった、言いますけど俺じゃないんです……ぎゃああ!」


 あーあ。こっちも明日片づけが面倒だなあ。バイトは大変だ。

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