パラボラ

凪 志織

パラボラ

 泣かないで もう終わったことだから


少し先に君が確かにここにいた気がして

アンテナを立てた

時々野良猫が遊びに来るよ

似てるから間違えちゃうんだ

忘れていいよ、なんて君は言ったけど

やっぱり覚えてるんだ


 ねぇ、知って本当の空の色は


夜の心地よさに救われてる気がしてるだけ

本当のことなんてわからない

終わんなきゃ何もわからない

水平線の向こうからじゃなきゃ


 大丈夫、としか言えないんだ


揺らぐ景色の中、砂の微笑にすがりつく

零れ落ちていく手触りに沈んだ音を聞いて

ただ一輪の花に「どうしたの?」って笑われて

君を思い出す

いつの間にか夏が来ていて

みんな命の歌をうたっていて

わたしはわたしで、新作ドーナツのことなんか考えてる


 ねぇ、笑って


時計の針がチクタクと

くすぐるようにささやいて


 大丈夫、何度だっていう、あなたは大丈夫


夜が来たからまた明日


 私はいつでもここにいる

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パラボラ 凪 志織 @nagishiori

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