第10話 お誕生日のご挨拶

「来たか」


「パパ~!!」


 僕はパパに抱きつきます。でもママにすぐに怒られちゃいました。


「ルーパート、今はそういうことをしてはダメよ。お洋服が着崩れてしまうし、せっかく整えた髪も乱れてしまって、可愛いが台無しになってしまうわ。私達家族だけならば良いけれど、お客様がいる時は、大人しくしていて」


「う゛~」


「ハハハッ、その顔ではも、可愛いが台無しになってしまうな」


「うむ、そうだな」


「もしあれだったらワシらとパーティーを抜け出すか」


「それも良いかもしれん」


「何を言っているんですか! あなたがそんなことを言ってどうするのです」


「そうですわ。まったく、今日の主役を連れ出そうなんて」


「じちゃ!! ばちゃ!!」


「だって、可愛い孫が困っとるんだぞ。なに、後半など、大人達が勝手に話しをしているだけなのだから問題なかろう。のう、レオポルド」


「ああ、その通りだ」


「ダメに決まっているでしょう! あまり言うのなら、あなた達2人を外に出しますよ。そして明日の家族だけのパーティーにも出しません。カトリーヌ気をつけましょうね」


「本当、そうですわねリディア。今からでも出て行って……」


「ワシらは何もせん、静かにしとるわ!」


「ああ」


 あ~あ、お爺ちゃん2人もお婆ちゃん達に怒られちゃった。


「ルーパート、今日1日だけだから頑張りましょうね。そうしたらプレゼントたくさんよ」


「うん!!」


 お爺ちゃんとお婆ちゃん達にバイバイをして、お爺ちゃん達は自分達が居る場所へ移動。僕達はこれから階段でご挨拶するんだ。最初にパパがご挨拶して、次に僕。それで誕生日のパーティーが始まるの。


 僕はパパとママと手を繋いで、階段に移動します。そうしたら、今まで階段の周りがとっても騒がしかったのに、し~んと静かになって。僕の誕生日に集まってくれた人達が、一気に僕を見てきました。


 僕、ドキドキしちゃった。1歳の時はドキドキしなくて、2歳の時は、ちょっと隠れてたけど、ドキドキは初めて。あのね、僕1人でのご挨拶、初めてなの。だからドキドキなんだ。


「本日はご多忙の中、我が屋敷にお集まりいただき、心より感謝申し上げます。このたび、我が三男ルーパート・クラウゼルが、無事3歳を迎えましたことをご報告申し上げます。そして本日、皆様の前に正式にお披露目の運びとなりました。まだ言葉も拙く、幼き者ではございますが、彼の瞳には確かに我が家の血と、未来への光が宿っております。ルーパートがこれよりどのような道を歩むかは、いまだ定かではございません。されど、その歩みがクラウゼル家の誇りとなるよう、父として見守り、導いてまいる所存です。どうか、あたたかきご加護と変わらぬご厚誼を賜れますよう、お願い申し上げます」


 ワッ!! とみんなが拍手したよ。わわわ!? 次は僕の番!!


「ではルーパート、お客様に挨拶を」


「え、えちょ、ルーパート・クラウゼルでしゅ! 3さいになりました!! おたんじょび、おめでとございましゅ!!」


 僕はバッ!! と頭をさげて、すぐに上げました。ふう、ちゃんと言えた。良かったぁ。みんなも拍手してくれたよ。でも、ん? あれ? なんかみんなちょっと、困ったような顔をして笑ってるような?


 僕は横を見ます。あれぇ? パパはいつも通りむんってお顔してるけど。ママはみんなと一緒、困ったお顔して笑ってる? 


 お兄ちゃん達は、エリオットお兄ちゃんはなんか笑いそうになってるのを、我慢してる? 感じで。それでレオンハルトお兄ちゃんが、なんか変なニヤニヤしてる感じのお顔で、エリオットお兄ちゃんの足を踏んでたよ。みんなどうしたのかな?


「それでは皆さま、今宵の宴を、心ゆくまでごゆるりとお楽しみください」


 パパがそう言って、パーティーが始まりました。


「ママ、みんなこまったおかお、わらってた」


「え、ええ、そうね。みんなあなたの挨拶がしっかりしていたから、きっとビックリしたのよ。さぁ、これからの少しの間、挨拶をしないといけないから、下へ下りましょう」


「お誕生日おめでとうございますって、相手にいう言葉だよな」


「しっかり言えたのだから、問題はない」


 お兄ちゃん達が何かお話ししていました。

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