第33話 終わったと思ったのに

「そんなこんなでデジカメの写真は取り込んだんだけど、なんか少なくてね。あれ?って思ったのよ」


ひとみが話し出した。


「それで気づいたの。スマホの写真を取り込んでなかったって」


「今のスマホはもう取り込んでたんだけど、昔のスマホは、まったく手をつけてなくて」


「で、また同じことを繰り返したんだよな」


悟郎が笑いながら言う。


「仕方ないじゃない。でも、古いスマホでも、アプリがちゃんと入るのよ。後、スマホから直接送れるって楽なのよね。ケーブルも何もいらないなんて」


「たしかに……」

聡美もうなずいた。ケーブルを探さなくていいだけで、ずいぶん気が楽だ。


「あとね、デジカメと違って、取り込むときに“アルバムに追加”って画面で、その写真を入れるアルバムが選べるの。私、アルバム全部作ってるから、それがもう便利でね」


「テレビを占拠してアルバム整理してたからな」


悟郎がぼそりとつぶやく。


「やめてよ。おもいでばこのスマホアプリでアルバム整理できるの知ってから、テレビはあまり使わなくなったでしょ?」


「普段はな。でも、写真が見えづらいとテレビを使うじゃないか」


「まぁまぁ……」


聡美が笑いながらなだめる。


「何台も古いスマホを引っ張り出してきて、一台ずつWi-Fiにつないで、写真を選んで、アルバムに追加して――。もう、終わった!って、達成感にひたってたの」


「でも、それで終わるはずがないんだよな」


悟郎が小さく笑った。

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