第21話 アプリを入れましょう
登場人物:聡美(視点)、悟
「これでWi-Fiも無事につながりましたね」
無線LANルーターの交換と接続が終わり、悟がスマホを手に言った。
テレビの前には、おもいでばこが設置されている。
今まではテレビの裏に隠れていたが、今回からは放熱も考えて、前に出して置いた。存在感はあるけど、不思議と部屋に馴染んでいる。
「じゃあ次は、スマホの準備ですね。おもいでばこのアプリはインストールされていますか?」
「えっと……まだだったと思います」
「大丈夫です。App Storeで“おもいでばこ”と検索すればすぐ出てきますよ。これですね」
悟のスマホを覗き込みながら、聡美も自分のiPhoneで検索する。
白地にカラフルな色が配色されたアイコンが表示された。
「おもいでばこ」の文字がある。
「これで合ってます?」
「はい、それです。インストールしましょう」
アプリのダウンロードが終わるのを待ちながら、悟が補足する。
「このアプリ、初回だけ設定が必要なんです。おもいでばこアプリからおもいでばこを見つけて、「端末を登録」ボタンを押します」
聡美は悟に言われたとおりにアプリを操作する。
「そうすると、おもいでばこの画面に確認が表示されるので、案内に従ってリモコンで操作してください」
「はい・・・暗証番号を打ち込んで。あ、できたみたい」
テレビ画面の案内に従い番号を入力すると、設定完了の画面が出た。
「これで、スマホのアプリと“おもいでばこ”が繋がりました」
なるほど、出来てしまえば確かに簡単だ。
でも、一人だったらもっと時間がかかった気がする。
「悟さんがいてくれて助かりました。こういうの、昔は全部、夫がやってくれてて」
ふと思い出していた。テレビの裏を覗いたり、ルーターの配線を調整したり、機械を前にしても迷わなかった人。
もう一緒に暮らしていないのに、つい「あの人がいれば」と思ってしまうのが少し悔しい。
「大丈夫ですよ。もうこれで、準備が完了したので早速使ってみましょう」
「頭、パンクしないかしら?」
「大丈夫です。ここからは一気に簡単になるので」
悟と聡美は顔を見合わせ、笑った。
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