対になる物

@tadanoneko

私は子供のころから影が薄い

みんな私を見てくれない

私は本当の影みたいに暗い暗い地味な存在

私は夏が嫌いだ

夏のきらめきは私をより一層薄くする

でも周りが輝くと影は...


ふと目を開ける。

夏の暑さのせいか、頭を打ったせいか、激しい頭痛がする。

周りを見渡す。夕暮れ時。この場には私と自転車だけ。

「そうだ。私は車に跳ねられて...」

どうやら私を轢いた車は通報せず、逃げたようだ。

「ひき逃げされるなんて。ついてないなぁ...」

ぼんやり空を眺める。

オレンジ色の太陽は私の血を鮮やかに映し出している。

「結局私は死なないと、誰にも見てもらえないのか...」

太陽は私の死の運命を世界に刻むように照らしている。

「こんな時だけ...私を...世界に...映さないでよ...」

息絶え絶えに悪態をつく。

「でも...私が映るように...ずっと...照らし続けて欲しいなぁ...」

そんな願いとは逆に、世界はどんどん暗くなる。

太陽が沈みコントラストがなくなり...いや、違う

これはただ....

そう思い私は静かに目を閉じた。

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