完璧な世界で、不完全な「心」が星になる
夜を失い、星さえ忘れてしまった世界。
人工知能が人間を管理し、光も音楽も芸術も、何もかもが完璧に整えられている。けれど、その「完璧さ」がどこか息苦しく、空虚に感じられるのはなぜなのでしょうか。
この物語が描くのは、人工知能に支配された未来だけではありません。
心とは何か。
芸術とは何か。
そして、大切な人との出会いや別れが、なぜ私たちを私たちにするのか。
そんな問いを、哲学者であり音楽家でもあるエドワルド・ホッパーと、不完全な人工知能を搭載したナスの交流を通して、静かに、けれど鮮烈に投げかけてきます。
「ボクも、星になれるかな?」
その言葉の切実さには、胸をつかまれました。
百点満点の音楽よりも、誰かとの記憶や、迷いながら紡いだ不完全な旋律のほうが、ずっと美しく輝くことがある。
人間を描いているようで、人工知能を描いているようで、その境界線さえ揺らいでいく。
読み終えたあと、タイトルの意味と、見えなくなった星々の存在を、もう一度考えずにはいられない作品です。