第5話 工事中

 帰りたい。今すぐに家に帰りたい。そう思うばかりだ。でも、俺たちは消える。この世から。明の話の通りになるのなら俺たちはいなくなる。嫌だ…そんなの…絶対……嫌だ!ーーーーーーーーーーーーーーーー



「この道であってるよな?!」

「あぁ、ここからまっすぐ行けば帰れる。」

「…帰ろう、俺とお前の家に…」

「…」

「なんだよ、そんな黙り込んじゃって」

「いや、それって死亡フラグかなって思ってさ」

「今そんなこと言ってる場合じゃないだろ!」

「なんだよ、気分上げようと思ったのに。」

「こんな時に気分なんか上げんな!死ぬかもしれねぇんだぞ!!」

「俺たち最強だから」

「何どこぞの目隠しみたいな言い方してんの?!そんなギャグに付き合ってる場合じゃねぇっての!!」

「楽しんでんねぇ」

「楽しんでる場合でもねぇよ!運転の邪魔だから、静かにしてろ。」

「静かにしてたら俺死んだみたいにならん?」

「知るかよ!」ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー




 なんなんだよ、まったく。明は脳天気だし、俺たち死ぬかもしれねぇんだぞ………ってゆうか……この道さっきも通ってね?……………いや、いやいやいやいやそんなことねぇだろ。そんな馬鹿な話があるかよ…俺たち迷ったのか?……しっかりしろ!貝塚祈里!!こんなことあるはずがねぇ、明の話にもこんなこと言ってなかったもん。絶対……絶…対……?



「おい明」

「なんだよ、恋バナか?」

「違う!」

「っ…」

「何か…話忘れてないか?」

「………何をだよ?」

「とぼけんな!続きがあるんじゃないのか!!」

「……ある…」

「言ってみろ」

「……この後…迷い込むんだ」

「もう迷ってるよ」

「そうだな…それがさ、この道…」

「なんだよ、言ってみろよ」


 工事中の道なんだよ


「…は?」

「だから…工事中の道なんだって」

「…そんな…そんなことって…」

「あと、もう一つ言い忘れてたことがある…」

「今度は…なんだよ」

「あの時、写真に写った人影が消えたろ?」

「あぁ、海で撮った写真か」

「その写真に写った人影が…消しにやって来るんだ…」

「…何をだ?」

「…俺たちを…」

「…そんなこと」



 ガコン!



「っなんだ?!」

「……車の上だ…」

「外には…出たくねぇな」

「ったりめぇだ!出たら間違いなく死ぬぞ!!」


 この時、祈里と明の表情は不安から恐怖に移り変わる。


「っ!」

「なんだよ、そんな顔して?ギャルのパンティでも見たのか?」

「……そこ」

「あぁ?っ!なんだよあれ?」

「……人影が」



「………轢こう…」



「…は?」

「いいから!轢け!!」

「ッチ!どうなっても知らねぇからな!!」



 俺はその人影めがけ車を急発進した。



 スっ



「…あ?…」

「……どこだ?」

「…いないぞ。」

「はぁ〜、なんだったんだよ。」

「通り過ぎたように思ったけど、後ろにもいないぞ。」

「…助かった…のか…」

「んだよ〜脅かしやがって…」

「ホントだよ」


 あの人影めがけ車を発進させ、確実に引いた。しかし、何も手応えはない……助かったんだ…俺たち。

 そう、思った。ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー




「なぁ、明俺たち助かっ……明?………ッは?明!!どこだよ?!明!!!」


 明はいなくなった……思考が止まる。何もわからない。さっきまで無邪気な笑顔を見せていた明が消えた。目の前が真っ暗だ…………俺は外に出る……外に出たら明に会えるかもしれない、俺はそう思いたい。ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



 ガチャッ


 バコン!


「明〜!!どこだ〜!!!」


 俺は叫んだ…必死に……必死に叫んだ。


 あれっ…看板?



()



「……は?」


 見覚えがある看板だ。いや、看板だ。そんな……そんなはずはない………そんなはずはない!!


 俺は三歩、後ろに後退りした。




 トンっ




「ッは!あき......



 そこで俺たちは姿を消した。



 この世から、消えた。



 速報です。昨晩、貝塚祈里23歳、花垣明23歳が××山で行方不明になりました。その山道に入る道は工事中で誰も入れなくなっていたそうです。

 


 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 ここまで読んでくださった皆様、本当に嬉しい超えて愛です。

 いや〜祈里と明いなくなっちゃいましたね。

 この二人がどこへ消えたかは私にも分かり兼ねます。てへっ。

 面白いなと思った方は星や応援コメントをお願いします!

 次回の作品も乞うご期待くださいませ!!

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