怖い話

大学生の「ミサキ」は、ひとり暮らし。夜のバイトから帰ると、スマホでお気に入りのライブ配信を見るのが日課だった。

ある日、いつも見ている配信者「レイナ」の通知が来た。

【レイナがライブ配信を開始しました】

「おっ、今日もやってる」

画面を開くと、レイナは珍しく無言だった。カメラは固定され、部屋の奥にあるクローゼットを映していた。

チャット欄はざわついている。

「何かいる？」「これ演出？」「ドッキリか？」

ミサキも違和感を覚えた。普段の明るいレイナとは違う。

数分後、コメントがひとつ流れた。

『レイナ、死んでるよ』

思わず息を呑んだ。ふざけたコメントだと思いたかった。が、その瞬間、画面がグラッと揺れた。カメラが倒れ、床を映した。

誰かが引きずられるような音。

画面の端、血のついた髪の束が一瞬見えた。

突然、配信が終了した。

ミサキは凍りついたままスマホを置いた。

翌朝、ニュースで見た。

——「都内で人気配信者、レイナさんが遺体で発見。

死後、何者かにより深夜1時からライブ配信が行われていた模様」——

ミサキがその配信を見ていたのは、深夜1時15分。

画面の左下には、確かに映っていた。

「視聴者数：1」

——ミサキだけが見ていた。

レイナの最後の瞬間を——。