第9話:2限目 蛍の説明

2限目が始まった。蛍が冊子を抱えてクラスに入ってくる。クラス内の生徒は、まだ緊張感があるのか静かに着席する。正洋の後ろの席では「チカチカ」が一人、悶々としていた。


チカチカ(やっぱりだよね、優しさだよね。石坂君、うーん、ほしい、精子欲しい!、やっぱり優しさの女の子は家族に欲しい!てかあたしが成りたい!「頑張る気持ち」より全然いいよ。でも娘かぁ。この年で子供作る子別にめずらしくないし、考えちゃうなぁ。でもやっぱり言い出すのはちょっと、あれ?優しさだよね。石坂君、密かに大人の間で噂になっているし。うーん、かわいい子供ほしい!、あ、授業始まる)


蛍が冊子を教壇におき、枚数を数えて、クラスの最前籍の生徒の机におく、自然に後ろへ分けていくリレーが始まる。・正洋はクラスの左から2番目、早めに受け取った。文章を読むのは嫌いじゃなかった。冊子の表題をみる。学内での過ごし方。 とかかれている。まだクラス全体に回り切っていない。蛍は最前籍の右まで回しきっていない。パラパラと冊子を読む。内容の理解に努める。


正洋(・・・・ほええ・・・、ああそうなの)


正洋(今年から学内の入学した生徒は選別されたもの?既存の生徒も適正に応じて他校に編入、他校から編入? 本名は使わない。過度な男女交際は要注意・・・ね・・・・こんなん書く事かな?うひょん)


すこし、気配を変わるのを正洋は感じた。


蛍が口を開き始めた、クラス全体に冊子が回ったのだろう。


蛍「OK?じゃあ説明するね。冊子は学内の過ごしかたについて説明したものです。学内の地図とかもあるから、参考にしてね。うん、そう、一枚だけ外れてるやつね?じゃあ説明するね。」


蛍「まず今年になってからこの学校に入学した生徒は意図的な選別でおこなわれています。これまでの周辺地域の小学校の児童が集められたわけではありません。2年生3年生も意図的は編入がおこなわれています。まあ、この学校は大体が、大丈夫な感じの子がそろっています。」


正洋(いきなり、選別ときたぞ。俺は地元だけど、チカチカもそうじゃないかな)


蛍「学内では本名は原則使いません。尋ねるのもやめて、お互い知っていても本名で呼ばないように。注意するよ。あと、同性異性の過度な交流もしないこと、やめようね。一応注意します。冷静にね、従来なら皆さんは地域の児童があつまった状態で中学校生活をおくります、でも冷静にね、地域住民の間で恋愛とか交際するの?中には問題のある児童もいたりするよね、その辺疑問視されてるわけ、この学校も意図的な選別されてるけど、自由恋愛は一応控えてね。男の子の数すくないけどね」


それから冊子の内容を順次に説明しはじめた。それは冊子に記載されている注意事項である。


伊達眼鏡(読めば済む話だが、そういうわけにもいかないだろう。ほうり捨てるやつもいそうだし、事実確認だな)


説明には学内の施設、有資格の職員の存在まである。月に一度カウンセラーなども来たりするらしい。予約することもできるようだ。簡易のシャワー施設もあり、注意して利用してもよしとのことであった。


冊子は分厚くはないが口頭での説明だとそれなりに時間が過ぎていった。


蛍「じゃあこんなところね。OK、読んでないとかいわさないよ。失くしたらまた発行してあげるけど、流出とかやめてね、じゃあなにか質問あるかな?」


正洋(質問、かぁうーん)


「伊達眼鏡」が挙手する


伊達眼鏡「先生の担当科目は?」


蛍「あたし?あたしは国語だよ。よろしくね、いい質問」


すこし沈黙流れる、女生徒が挙手をする


にんまり「はい、質問です」


蛍「 にんまり さんね。いいよ」


にんまり「なんで男子は少ないんですか?」


蛍「いい質問、うん、多分それは男子生徒に問題があるからだとおもうよ、学内にいるのは大体大丈夫だよ」


にんまり「問題ってなんですか?」


蛍「うーん、まあ強いて言うなら 素行とか、性格とか、あと生体発電もかな?いずれわかることだしね」


にんまり「はーい」


正洋は「にんまり」をすこし間の抜けていると感じた、しかしすこし斜めだが、容姿はかわいらしく見える。すこし肉付きがいいだろうか。良い匂いがしてそうに思った。


正洋(しかし、ちょと興奮するな。俺、地元だけど。うーん、ちょっとドキドキするなぁ。)


それからもクラス内で質問は遠慮気味に続いた。その空気に安堵を感じる正洋であった。

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