第5話:登校日

登校日当日、正洋は自宅で朝食を食べ、兄弟で順にシャワーを浴びた後、学生鞄の中身を確認し、余裕をもって登校した。徒歩での移動でもいいが、面倒さから自転車で通うことにした。母から買ってもらったママチャリだ。大分使いこなしているので、メンテナンスの必要もある状態だった。擬音を響かせながら新田中学へ向かう。長男の直樹は先んじて移動している、正洋は寿洋と連れ添う形で移動した。自転車ならばさほど遠い距離ではない、問題なく到着すると、指定されていた駐輪場の区画へ向かう。その他の生徒の自転車のすき間に止める。どこに止めたか忘れないようにしないといけないだろう。校門には、簡素な看板に、「新田中学登校日」と大きく書かれている。校舎の入口まで歩をすすめると。長机が入口に垂直に並ぶ形で置かれており、椅子には学校の教員とおもえる女性が複数人で入校受付をしているようだ。正洋は1年生側の受付に並ぶ、前に並んでいるのは寿洋だ。すこし並ぶので自分の番までには時間が必用だった。休日に見たアニメの妄想をしながら正洋はまつ。劇中のアニメに美化された自分を介入させたオリジナルストーリーをイメージする。格好つける自分、頼れる自分、好き勝手に妄想していると自分の受付の番が近くなってきた。受付をする学生と次の学生は3メートルほど離すようだ。女性が仕切っている。今は寿洋の番。無事終えたのか、手をふって校舎に入っていった。正洋の受付の番だ。立ったまま、受付を行う。相手は女性の教員だろうか。


女「はい、受付します。マイナンバーカードか個人を証明する書類を提示してください」


正洋がマイナンバーカードを見せる。


女「はい、確認します。名前、顔、よし。番号はA12番ですね。これをどうぞ」


女がビニール袋に入った名札と紙片を手渡す。


女「これからその名札をつけて学内で過ごしてもらいます。無くさないように。その場合は職員室にきてちょうだい。本名は可能なかぎり名乗らないようにね、それでは紙に書いてあるクラスに移動してください」


受付はおわった。名札は白のプラスチックに赤文字で愛称が記されている。正洋は「まーこ」だ。


正洋(やっぱり愛称か、いやぁ)


紙片に記されたクラスに移動する1ーAの12とある。


クラスでは入口前に机が置かれ、女性が椅子にすわっている。女性はよくみると美人だった。かわいいと言ってもいいかもしれない。


女「はいはい、校舎前でもらった紙、みせて、名札もつけてね。顔も」


女「はい、どうぞクラスにはいって、番号の席につくこと」


正洋はクラスに入る。黒板には席の構成と番号がしるされていた。正洋の番号は12番、左から2列横、後ろから2番目だった。

着席する。すでにクラスには幾人かの女生徒が席にすわり、しゃべるわけでもなく思い思いすごしている。髪をいじったり、鏡みたり、腕組んだり。

クラスに順々に生徒が入室してきている。時間がたつにつれて違和感を感じ始めた。女生徒が多すぎないか?

正洋が違和感を確信する頃合いになるとクラスの生徒はそろったようだ。総員何人だろう、男子生徒はわかる、自分を含めて4名だった。


最後にクラス入口にいた女性が入り、入口を閉める。彼女の自己紹介が始まった。

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