第1話:生体発電検査

神奈川県横浜市港北区、そこに住んでいる世帯を取り上げた地方紙の報道がある。紙面の片隅に1点の写真と記事内容で構成された記事。写真は双子の赤子を見つめる女性の写真だ。報道内容としては、近年、注目されつつある「生体発電せいたいはつでん」に関連した内容だった。人の本能、特性、能力と大いに結び付けられる「生体発電」その観測史上はじめての「優しさ」 「感激」の男児の誕生である。感情系生体発電としてはいままで男児には観測されていなかった。母となる石坂紀代子いしさかきよこはその生体発電が以前から「優しさ」ではないかと、されており、彼女の卵子から誕生する生命の「生体発電」に注目がされていた。この度、赤子を体外受精により出産したとして、総務省指示で調査が行われた結果である。双子の保有する生体発電は「優しさ」 「感激」 とされた。記事は今後の成長に期待したいとして締められている。


石坂家の3男として「正洋まさひろ」と名付けれた児童は、同じ顔をした双子の兄である「寿洋としひろ」と住宅の洋室のカーペットの引かれた床で、車のおもちゃを手で走らせていた。

口では擬音をつぶやき、一心不乱でおもちゃで手慰めしている。記憶としてはおぼろげだが、当時、ダイニングのテーブルを挟んで母「紀代子」と知らぬ女性が話し合いをしているのは憶えている。相手の女性の方はやや興奮気味で母に訴えていたようだ。母はすこし悩んでいたようで。その対応に苦慮していたと後で思い出している。

あれがそうだったのか?その記憶は成長にともない思い出す事柄だった。


「正洋」と「寿洋」は小学校を卒業し、中学に入学する年齢に成長していた。横浜市新田中学校、自宅で徒歩で通えない距離ではないが、面倒なため自転車でもいいという。入学式当日、母の同伴もあり3人で徒歩でむかっていた。先んじて二年生になる「直樹なおき」はすでに自転車でむかっていた。学生服を身をつつみ、あたらしい生活に投じる緊張感で「正洋」はつつまれていた。校門前で母と一緒にカメラで撮影をする、カメラを構えてくれた女性に礼をいい。体育館に入る。


はじまる入学式、校長の挨拶では、あたらしい生活に投じる入学制を祝福しているようだ。その後、教頭から今年度からのあらたな方針を告げられる。


教頭「えー、在校生の皆さん、そして本日あらたに入学された新入生の皆さん、ならびに親御様におつたえします。親御様にはあらかじめ書面で通達していた事項の説明をします。本年度から文部省の指示により、在校生すべてのお子様の「生体発電」を検査し。その結果による教育方針を取ることになりました。本日は、校内で検査しますので在校生はクラスにもどり、順番したがって検査をうけてください。新入生は、案内された1学年のクラスに行き、その場の教師の指示したがい検査をうけてください。性別で検査するクラスは違いますのでご安心ください。本日はその場で解散してください。1週間の待機期間とします。後日、書類を郵送しますのでそれにしたがって登校してください。以上です」


体育館の学生がすこしざわつく、新入生に同伴した親は承知していたようでしずかだ。列の端にたっている教師の指示にしたがい移動する。体育館の端でみつめいている母に手をふり、「正洋」は移動した。


1階のAクラスの廊下に並ぶ「正洋」、指示に従い順番にクラスに入っていく。・自分の番がきた、クラスの中には、スーツを着た男性に案内されてクラスの教壇付近におかれたテーブルと椅子にすわった白衣の女性の向かいの椅子にすわる。スーツの男性はすこし機械的な声だと正洋はおもった。


白衣の女性「えー、石坂正洋君、で間違いありませんね。」


正洋「はい」


その後白衣の女性と口頭でやりとりする。年、血液型、把握している身長、今の気分など。その後シャツを脱ぎ。胸をさらけ出すように言われる。・

電極を何点か胸付近に貼る。小型の測定器につながっているようだ。検査が開始された、すこしぴりぴりする。3分ほどで終了。その日は帰宅してよしと指示をうける。


体育館脇で双子の兄の「寿洋」と母と合流する。「直樹」はすでに帰ったようだ。


紀代子「どうだった」


正洋「すこしぴりぴりした」


寿洋「生体発電ときたかぁ、ニュースでしかみたことねえや」


その日帰宅して自宅での待機が1週間続いた、5日後に配達記録郵便で書類が届く。4名分だ。「直樹」 「寿洋」 「正洋」 「純子じゅんこ

妹も小学校で検査している。母は書類をうけとり、子供たちに手渡す。検査をうけた本人が最初に開封することとなっている。


生体発電検査報告書

クラス分けの案内


生体発電報告書を開封する。折り畳みのA4サイズだ。大きい。自身の生体発電の検査結果が記載されている。報告書に記載されていた自身の生体発電

それは「優しさ」と表記されていた



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