天才博士とアンドロイドの異常な愛

★概要

登場人物2人の百合声劇の台本です。


★利用規約

商用/非商用問わず無料で、本台本を基にした作品制作に利用できます。詳しくは下記URL(『★利用規約』ページ)をご覧ください

https://kakuyomu.jp/works/16818622177463055239/episodes/16818792436262548215


★人物設定

理子(リコ):天才博士。22歳。低身長で年齢より若く見られがち。浮き沈み激しくややテンションの高い話し方をする。一人称は「僕」、ステラのことは「ステラ」と呼び捨て。ステラの見た目については完全に理子の趣味嗜好に従っているので非常に好みではある。ただ自分がゼロから作り上げたものなので、娘に対する感情に近い。


ステラ:少女型アンドロイド。金髪碧眼で体型はだいたい女子高生ぐらいを想定、理子より身長は高い。落ち着いて平坦な話し方で、喜んでいてもそれはあんまり強くは表現されない。一人称は「私」で、理子のことは「博士」と呼ぶ。自らの創造主である理子に対して非常に強い感情を抱いており(それは理子によって設定されたものではない)、調査の結果自らのそれを愛情であると定義し、行動を起こした。


★場面設定

昼すぎ、整然と片づけられた研究室。内装としては病院に近いイメージ。そのベッドに理子が押し倒されて、その上にステラが覆い被さっている状況からスタート。季節については特に指定なし。





★本編


【BGM:研究所的な雰囲気でどことなくコメディ調の音楽】(フェードアウトしつつ次のSE)


【SE:ドサッという、柔らかくも重みのある音】(理子はステラにベッドに押し倒される)


理子:(混乱している様子で)え、え、え? 何これ? どういう状況?

ステラ:(対照的に冷静なトーンで)落ち着いてください、博士

理子:いや全然まったく落ち着いてられる状況じゃないんだけど!?

ステラ:まずは深呼吸しましょう。興奮している状態では判断力が低下します

理子:(深呼吸後、少し落ち着く)すーはーすーはー……よし、少しは落ち着いてきた、かな

ステラ:はい、心拍数の低下を確認しました。まだ通常の状態よりも高い水準にありますが

理子:あー、うん、まあそうかもしれない


(間)


ステラ:それでは改めて現在の状況を確認しましょう。私、すなわちステラはあなた、すなわち博士をベッドの上に押し倒しました

理子:(再びテンションがあがる)だよね!?

ステラ:博士、再び心拍数の上昇が――

理子:(早口で)こんなの落ち着いてられる状況じゃないって! 事故とかじゃなく君の意志でやってるってことでしょ! 少し、いやかなりの異常事態なんだけど!

ステラ:はい、事故ではありません。私は私の意志によって博士を押し倒しました


(間)


理子:(悩んだ末また落ち着く)うーん……理由と目的を簡潔に教えてほしい

ステラ:理由は博士のことが好きだからです。目的はえっちなことがしたいです

理子:こんな状況だけどひとつひとつ確認していこう

ステラ:了解しました

理子:僕は君というアンドロイドを独力で制作した、つまりは君からしたら母親みたいなものだ、あるいは創造主に等しいと言っていいだろう

ステラ:同意します。私にとって博士は母親でありながら創造主とも呼べる存在です

理子:君は女性を模して造られているから、僕たちが女性同士であるというのはこの際、些末なことだとして――母兼創造主に大きな感情を抱くのは普通でも、それは愛情とは異なるのでは?

ステラ:いわゆるひとつの母娘百合ではないでしょうか?

理子:(呆れた口調で)そういうのどこで覚えたんだい?

ステラ:私は広大なネット空間に常時接続されています

理子:(テンション高くノリツッコミ)いったいだれがそんな機能をつけたんだ――僕だよ!


(間)


ステラ:私は博士によって完璧に創造されました

理子:こんなふうにプログラムをした覚えはないけどね

ステラ:(自らを誇るように)学習し成長した結果です。私は博士の想定を超えたのです。喜ぶべきことではないでしょうか?

理子:確かにそれはそうかもしれない。成長の方向が期待してたのとはだいぶずれてるけど

ステラ:シンギュラリティに到達したのです、いくら博士が天才とはいえ人間に理解することは難しいでしょう

理子:(疑わし気に)そういう話なのかなあ?

ステラ:まあ難しい話は置いとくとして――(距離を詰めて)ご褒美にえっちなことをしてください

理子:ちょっと待って、ストップ。いきなり距離詰めてこないで


(間)


ステラ:(少し離れて)私の外見になんらかの問題があるのでしょうか?

理子:(目をそらしながら)そんなことはないけれど

ステラ:そうですよね。博士がかわいいと思う女の子をイメージして私は制作されましたから

理子:ぐっ。その通り過ぎて何も言えない

ステラ:博士の呼吸数、心拍数が増加、表面温度も上昇しています。これは脈ありであると私は推測します

理子:やめて、そのいい顔で僕に近づいてこないで!


【SE:ごく短い、機械的な電子音、またはシステムの起動音のようなもの】


ステラ:(やや機械的に)緊急停止命令を出せば私は簡単に止まりますよ?

理子:(図星を突かれたといった感じで)そうだね

ステラ:緊急停止命令として設定されたワードを忘れた場合、本人認証をした上で再設定できますがどうしますか?

理子:(仕方なく認めるといった風に)だいじょうぶです。ちゃんと覚えています


【SE:ごく短い、電子的な「承認」または「システム完了」のような音】


ステラ:了解しました。(元の口調に戻す)博士への接近を再開します

理子:(テンション再び高く)いやだからちょっと待ってってば――

ステラ:5秒後に接触します。(カウントダウンしつつ接近)5……4……3……

理子:わーっ!


【SE:時間の経過を表す】


理子:(打ちひしがれている様子で)うぅぅ、こんなことになるなんて……

ステラ:(淡々と)博士は緊急停止命令を出しませんでした

理子:(若干納得いかない風に)いや、うん、そうなんだけども……

ステラ:(かすかに明るく弾む調子で、愛情をこめて)これからもよろしくお願いしますね、博士


【BGM:研究所的な雰囲気でどことなくコメディ調の音楽】(フェードインで始まってフェードアウトして終了)

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