先生の秘密はワインレッド
伊咲 汐恩
第1話 同窓会のハガキ
「キミはまだ子どもだよ」
――大学四年生の就職活動が落ちついた夏のある日、高校の同窓会のハガキが届いた。
それを片手に思いだす。
三年生の夏休み直前に、担任の久保田先生にフラれてしまったときのことを。
卒業式に撮ったツーショット写真。
いまでも机の上にかざってある。
彼はワインレッドフレームの眼鏡でスーツ姿。隣に泣き顔の私なんてダサいけど。
当時の彼は数学担当だった。
わからないことは放課後マンツーマンで教えてくれたし、友達のことで悩んでるときは親身になって話を聞いてくれた。
次第に感情の変化があらわれて告白したけど、眼鏡のレンズに映っていたのは教え子のひとりの私。
身も心も一人前の大人だと思っていたけど、25歳の彼にはきっと子どもにしか見えなかったんだよね。
もし同窓会で会えるのなら、卒業式以来の再会に。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます