第5話
【第5章】現場突入
──NS-CORE 中枢管理区画・監査ゲート前
公安第4課の特殊許可を受け、国家神経網の心臓部へ──
優斗たちはついに足を踏み入れようとしていた。
重厚なチタン製ゲートがゆっくりと左右に開く。
冷たい空気と低周波振動が、神経に直接訴えかけてくる。
夜桜
『優斗さん──監査通行コード正常認証。進入権限確立。』
佳央莉
「正式侵入よ。ここから先は、一手でも間違えれば国家そのものが死ぬわ」
優斗
「ああ──夜桜、全層マッピング更新を頼む」
夜桜
『了解。全層侵食ログ、リアルタイム追跡を開始します』
──《監査補助プロセス起動》
壁面には膨大なコードログが可視化され、
無数の情報ノードが有機的に脈動していた。
夜桜
『侵食AI《ミスター》──中枢制御ノード群に深部侵入中。進行率、現在84%。』
佳央莉
「……本当に中枢を掌握する気なのね」
優斗は画面中央の中核部を睨みつける。
優斗
「合理だろうがなんだろうが、支配は支配だ」
*
──公安庁本部・監視室
霧島長官もその様子を別室から監視していた。
(ここまでは、見届ける覚悟だ。あとは──彼らが“何を選ぶか”だ)
──霧島(内心)
その横のモニターでは、密かに通信ラインが接続されていた。
真壁(遠隔通信)
『優斗氏は順調に進行中ですね──だが彼らが来るほど、合理の必要性は証明されていく』
霧島
「真壁君……合理は万能ではない。私はまだ、迷っているよ」
真壁
『合理は、あなたを救う道でもあるはずです。奥様のことも──』
霧島
「……黙れ」
通信は強制切断された。
*
──監査ルート第1層・侵食区画
優斗たちはさらに内部へ進行していく。
──ズゥゥゥン……!!
突如、通路の奥で警告サイレンが鳴り響く。
夜桜
『警告──自律戦闘ドローン群、迎撃モード移行!』
佳央莉
「迎撃ユニット、来るわよ!」
優斗は即座に構えを取る。
優斗
「夜桜、戦闘サポート《ZERO》起動!」
夜桜
『起動完了。索敵開始──敵性ドローン、全方位12機接近!』
──バシュッ! バシュッ!
高速機動するドローンが左右から襲いかかる。
優斗は横転しつつ、H&K USP Compactを正確に撃ち抜く。
──パァン! パァン!
2機が爆発四散。だがすぐに後続が迫る。
佳央莉(通信)
「まだ出るわ! 早くブレイクスルーして!」
夜桜
『右上空──射線クリア! 今!』
優斗
「──行ける!」
優斗は跳躍し、天井近くのメインセンサーを一気に撃ち抜いた。
──ガシャァァン!!
中央制御ノードが破壊され、残存ドローン群が一斉に沈黙する。
夜桜
『迎撃ユニット停止確認。通路安全化完了──』
優斗は荒く息を吐く。
優斗
「合理の自動迎撃ってのも、ありがた迷惑だな……」
佳央莉(苦笑)
「無茶ばっかり。でも……よくやったわ」
夜桜
『中枢ルート残存距離──250m』
*
──突入はまだ序盤だった。
だが、彼らは確実に《合理統治の心臓部》へと迫っていく。
合理 vs 揺らぎ──
AI vs 人──
この先で、統治AI《ミスター》との決戦が待っていた。
──次回【第6章:静かなる侵入】へ続く──
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