第035話 美桜の高校進学

 2000年4月8日 高校入学式


「聡、今日は美桜さんの入学式だね」


 翔が僕の部屋で言った。今日は美桜さんの高校入学式。僕たちもお祝いに駆けつける予定だ。


「そうだね。美桜さん、きっと緊張してるだろうな」


 ITバブル崩壊から約1か月。株式市場の混乱は続いているが、僕の心は美桜さんのことでいっぱいだった。


「でも、聡も来年は受験だからな」


 翔が現実的なことを言った。


「うん。美桜さんと同じ高校に行きたいから、頑張らないと」


 これは僕の本心だった。


 高校の正門前で美桜さんを待った。


 新入生たちが真新しい制服を着て、緊張した面持ちで校門をくぐっている。


「田中君!」


 美桜さんが新しい制服を着て現れた。とても美しく、高校生らしい大人びた雰囲気があった。


「美桜さん、入学おめでとうございます」


 僕が心を込めて言った。


「ありがとうございます。田中君も翔君も来てくれて嬉しいです」


 美桜さんが笑顔で答えた。


「高校の制服、とても似合ってますね」


「ありがとうございます。でも、少し緊張します」


 美桜さんが正直に言った。


「大丈夫ですよ。美桜さんなら、きっと素晴らしい高校生活を送れます」


 僕の言葉に、美桜さんが安心したような表情を見せた。


 入学式の会場で、僕たちは保護者席で美桜さんを見守った。


「新入生代表、佐藤美桜さん」


 司会者の声が響いた。


 美桜さんが壇上に上がり、新入生代表として宣誓を行った。


「私たち新入生一同は、この伝統ある高校で、学業に励み、人格を磨き、将来の日本を担う人材になることを誓います」


 美桜さんの清らかで力強い声が会場に響いた。


「すげー、美桜さんが新入生代表だったのか」


 翔が感心していた。


「さすが美桜さんだね」


 僕も誇らしい気持ちでいっぱいだった。


 式の後、美桜さんと話した。


「新入生代表のスピーチ、素晴らしかったです」


「ありがとうございます。とても緊張しましたが、頑張りました」


 美桜さんが安堵の表情を見せた。


「これからの高校生活、楽しみですね」


「はい。でも、少し不安もあります」


 美桜さんが正直な気持ちを話してくれた。


「どんな不安ですか?」


「新しい環境で、ちゃんとやっていけるか...」


 美桜さんの表情が少し曇った。


「美桜さんなら大丈夫です。中学でも図書委員長として素晴らしい活動をしていたじゃないですか」


 僕が励ました。


「田中君がそう言ってくれると、勇気が出ます」


 美桜さんが微笑んだ。


「僕も来年、同じ高校を受験するつもりです」


「本当ですか?」


 美桜さんの目が輝いた。


「はい。美桜さんと一緒に高校生活を送りたいです」


「私も、田中君と一緒だったら嬉しいです」


 美桜さんが嬉しそうに答えた。


 夕方、美桜さんを家まで送った。


「今日はありがとうございました」


 美桜さんが玄関の前で言った。


「こちらこそ。美桜さんの晴れ姿を見ることができて、僕も嬉しかったです」


「高校生活、頑張ります」


「僕も受験勉強、頑張ります」


 僕たちはお互いの新しいスタートを応援し合った。


 家に帰って、投資の状況を確認した。


『2000年4月8日 投資状況』

『現金:236,400円』

『株式保有:なし』

『総資産:236,400円』


 ITバブル崩壊後、全銘柄を売却して現金ポジションを維持している。


 株式市場は依然として不安定で、僕の判断は正しかったと思う。


 でも、今は投資のことよりも、美桜さんの高校生活と僕の受験勉強の方が大切だ。


 投資日記を書いた。


『2000年4月8日 美桜さんの高校入学』


『新しいスタート』

『美桜さんの高校入学式』

『新入生代表としてのスピーチ』

『高校生らしい美しい制服姿』


『恋人関係の継続』

『高校進学後も変わらぬ関係』

『お互いの新環境への応援』

『来年の同校受験への決意』


『投資状況』

『全現金ポジション継続』

『ITバブル崩壊後の適切な判断』

『学業重視への方針転換』


『将来への決意』

『美桜さんと同じ高校への受験』

『恋人関係の継続発展』

『人間関係重視の価値観』


 続いて、青春日記も書いた。


『新しい季節、新しい挑戦』


『美桜さんの成長』

『中学生から高校生への成長』

『新入生代表としての責任』

『大人びた美しさの増加』


『恋人関係の発展』

『高校進学による環境変化』

『遠距離への不安と信頼』

『お互いへの変わらぬ愛情』


『自分自身の目標』

『来年の高校受験への決意』

『美桜さんと同じ学校への憧れ』

『勉強への新たなモチベーション』


『友情の継続』

『翔との変わらぬ友情』

『三人の関係の安定』

『お互いの成長を支え合う』


 その夜、僕は将来について深く考えていた。


 美桜さんが高校生になった。


 新しい制服を着た彼女は、とても美しく、大人びて見えた。


 新入生代表としてのスピーチも、堂々としていて素晴らしかった。


 僕も来年は高校受験。


 美桜さんと同じ学校に入学して、一緒に高校生活を送りたい。


 そのためには、しっかりと勉強しなければならない。


 投資で得た知識や経験も大切だが、今は学業に集中する時期だ。


 ITバブルは崩壊したが、僕には美桜さんとの愛情、翔との友情、家族の支援がある。


 これらこそが、本当の資産だ。


 前世では、お金ばかりを追い求めていた。


 でも、転生して気づいた。


 人間関係こそが、人生を豊かにする最も大切な要素だということを。


 美桜さんの高校入学。


 それは僕にとっても、新しいステージの始まりだ。


 恋人として、彼女を支えていきたい。


 そして、来年は同じ学校で、一緒に青春を過ごしたい。


 窓の外では、春の風が吹いている。


 桜の花が舞い散り、新しい季節の始まりを告げている。


 美桜さんとの愛情を大切に、僕も新しい挑戦を始めよう。


 転生して得た第二の人生を、さらに美しく輝かせるために。

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