第016話 新時代への第一歩
1997年12月15日 クリスマス準備の日
「聡、今年のクリスマスプレゼント、もう決めた?」
母さんが夕食の準備をしながら聞いた。リビングでは、翔と僕が投資研究をしていた。
「うーん、まだ迷ってる」
実際、今年は特別な意味があった。仁天堂株の利益確定で、初めて自分のお金でプレゼントを買える。
「翔はどう?」
「俺も悩んでる。今年は自分で買えるからな」
翔も同じ気持ちだった。
僕たちの机の上には、ここ1か月間研究していた資料が広がっている。
『インターネット関連企業研究ファイル』
『ヤブー完全調査レポート』
『企業概要:アメリカ発の検索サイト、日本進出開始』
『事業内容:インターネット検索、ポータルサイト運営』
『成長性:インターネット普及と共に急成長期待』
『投資判断:将来性高いが、まだ不確定要素多い』
『ソフトバンキ基礎分析』
『企業概要:孫正義社長率いる情報通信企業』
『事業内容:通信事業、IT関連投資、インターネット事業』
『特徴:先見性に優れ、インターネット時代の先駆者』
『投資判断:通信インフラ整備で長期成長期待』
「聡、君はどっちがいいと思う?」
翔が研究ファイルを見ながら質問した。
「正直、どちらも魅力的だ」
僕は前世の記憶を思い出しながら答えた。
「ヤブーは検索エンジンの先駆者として大成功する。ソフトバンキは通信とインターネットの両方を押さえる戦略で成長する」
「でも、どちらか一つに絞る必要があるのかな?」
「いや、分散投資も考えられる」
僕たちは新しい投資戦略を検討していた。
現在の資産状況は:
『聡の現在の資産』
『仁天堂株:5株(約25,000円)』
『現金:約46,000円』
『総資産:約71,000円』
『翔の現在の資産』
『仁天堂株:8株(約40,000円)』
『現金:約70,000円』
『総資産:約110,000円』
「仁天堂株を全部売却するという選択肢もある」
僕が提案した。
「えっ?全部?」
翔が驚いた。
「新しい時代に賭けるということだ」
これは大きな決断だった。仁天堂株はまだ上昇する可能性がある。しかし、インターネット関連企業の成長力はそれを上回るかもしれない。
「聡、それってリスクが高くない?」
「確かに高リスクだ。でも、ハイリスク・ハイリターンというのも投資の基本戦略の一つ」
僕は前世の経験を踏まえて説明した。
「仁天堂は確実に安定した企業だ。でも、これから10年を考えると、インターネット関連企業の方が成長性が高い」
翔が真剣に考えている。
「分かった。俺も聡についていく」
「本当にいいの?」
「うん。君の判断を信じてる」
翔の信頼が嬉しかった。同時に、責任の重さも感じた。
僕たちは具体的な投資計画を立てた。
『新投資戦略プラン』
『仁天堂株売却』
『聡:5株全売却→約25,000円』
『翔:8株全売却→約40,000円』
『新規投資配分』
『ヤブー株:聡30,000円、翔35,000円』
『ソフトバンキ株:聡30,000円、翔35,000円』
『現金残高:聡11,000円、翔40,000円』
「でも、売却は年明けにしよう」
僕が提案した。
「どうして?」
「クリスマスと年末年始。家族との時間を優先したい」
これも大切な判断だった。投資は重要だが、それがすべてではない。
「いいね。俺もそう思う」
翔が同意してくれた。
その日の午後、僕たちは久しぶりに街に出かけた。
「クリスマスプレゼント、一緒に選ぼう」
僕の提案で、デパートのおもちゃ売り場に向かった。
「うわー、ポケモングッズがいっぱいある」
翔が感動していた。
確かに、僕たちが投資している仁天堂の商品が店頭に並んでいる。
「これが投資の実感ってやつか」
僕も改めて思った。株価の数字だけでなく、実際の商品として市場に出ている。
「お母さんには何にしよう?」
翔が真剣に考えている。
「感謝の気持ちを込めて選ぼう」
僕も母さんへのプレゼントを探した。
結局、母さんには高品質なハンカチセット、父さんには本革の手帳を選んだ。
翔も家族へのプレゼントを丁寧に選んでいた。
「自分のお金で買うと、特別な気持ちになるな」
翔が言った。
「うん。投資で得たお金だから、より意味がある」
夕方、家に帰ると展覧会の準備をしていた。
「聡、今度の土曜日は展覧会よ」
母さんが思い出させてくれた。
「あっ、そうだった」
小学校の展覧会。各学年が美術作品を展示する行事だ。
「君の絵も展示されるのよね」
「うん。風景画を描いた」
今年は近所の公園を描いた水彩画を出品していた。
「楽しみね。お父さんも見に来るって」
家族が作品を見に来てくれる。これも大切な体験だ。
その夜、投資日記を書いた。
『1997年12月15日 新投資戦略決定』
『重要な決定』
『仁天堂株全売却を決定』
『インターネット関連企業への転換』
『ヤブー・ソフトバンキ両方への投資』
『投資判断の根拠』
『インターネット時代の到来』
『検索エンジンと通信インフラの重要性』
『長期的成長性の期待』
『リスク認識』
『新分野への投資はハイリスク』
『でも、時代の流れに乗ることが重要』
『分散投資でリスク軽減』
『実行時期』
『年明けに売却・購入実施』
『年末年始は家族時間を優先』
『今日の学び』
『投資で得たお金で家族にプレゼント』
『お金の意味と価値を実感』
『投資と生活のバランスの重要性』
続いて、青春日記も書いた。
『クリスマス準備での気づき』
『家族への感謝』
『投資成功を支えてくれた両親』
『自分のお金でプレゼントを買える喜び』
『お金の価値を改めて実感』
『翔との友情』
『投資判断を信頼してくれる』
『一緒に成長していく実感』
『友情は投資以上の価値』
『展覧会への期待』
『美術作品という違う分野での表現』
『投資以外の才能の発見』
『バランスの取れた成長』
窓の外では、早くもクリスマスイルミネーションが輝いている。
小学6年生最後のクリスマス。
来年からは中学生。新しい環境、新しい挑戦が待っている。
投資でも、仁天堂からインターネット関連企業への転換。
これも新しい挑戦だ。
でも、どんな挑戦をしても、大切にしたいものがある。
翔との友情、家族との絆、そして普通の小学生としての体験。
投資で成功することも重要だ。でも、それ以上に重要なのは、人として成長すること。
前世では経験できなかった、豊かな人間関係を築くこと。
今年のクリスマスは、そんな気持ちを込めて家族と過ごそう。
そして、年明けからは新しい投資戦略に挑戦しよう。
インターネットという新時代への第一歩を、翔と一緒に踏み出そう。
転生して2年8か月。
僕の人生は、確実に前世を超えている。
そして、これからも成長し続ける。
投資家として、そして一人の少年として。
すべての経験を大切にしながら、未来に向かって歩き続けよう。
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