第3話 初めての合成、そして進化

 オレとブルーは初めてのダンジョン、バトルを終えて家に帰ってきた。

 そこでドロップアイテムの確認をする。


 倒したゴブリンは全部で5体で、ゴブリンメイジが1体。


 倒したモンスターのドロップアイテム、"魔石"の使い道は合成素材か、仲間にするか。

 強いモンスターなら仲間にするのもありだけど……

 ブルー以外にもう1体モンスターがいると格段に戦いやすくなって、ゴブリンとも正面から戦えるようになると思う。

 一応、GランクからFランクへの昇格条件がモンスターを3体仲間にすること。

 今、ブルーがいるからあと2体仲間にすれば、条件を満たせる。


 メリットは十分にあるけど、ゴブリンって進化してもEランクが限界。

 だから、ゴブリンを仲間にするのは非推奨と情報サイトにはある。


 ……うん、さすがに情報サイトでも弱いと太鼓判が押されてるし、仲間にするのは辞めておこう。

 そうなるとブルーに合成するって選択肢が残るけど、


 プルプル!


 さっきから大きく震えて拒絶の意思を示してるんだよな。

 この付き合いの短さでオレの考えを理解している。

 説明する手間が省けるのは大助かりだけど、困った。

 どうにかして、ブルーの物理攻撃力を上げてゴブリンを一撃で倒せるようにしたい。

 それくらいできないと、一生初心者ダンジョンを卒業できない。

 ていうか、他のダンジョンに挑戦してやっていける気がしない。


 プルン、プルプル、プルプルン


 とうとう退屈になったのか、ブルーがゴブリンメイジの魔石で遊び始めちゃったよ。

 ……でも、何だかブルーがプルンプルンと体を揺らして魔石で遊んでいるの可愛いな。


 プル、プル、プルン


 どうやらブルーはただ遊んでいるわけじゃなさそう……?

 オレのの足にゴブリンメイジの魔石を押し付けようとしてくる。


 ……ARで見えてるだけだから足をすり抜けてるけど。


 ていうか、他のゴブリンの合成素材には見向きもしてない。

 よっぽどゴブリンメイジの魔石が気に入ったのかな。

 ……いや、もしかしてオレに何か伝えようとしてるのかも。


 ブルーに確認してみると、小さく震える。

 どうやら合っているみたい。


「うーん……あ、もしかして、これなら合成してもいいの?」


 プルン、プルン


 小さく体が震える。

 つまり、OKということ。


 ブルーから承諾を得られたので、ゴブリンメイジの魔石を合成する。


 ブルーのステータスウインドウを開いて、合成の項目を選択し、合成素材としてゴブリンメイジの魔石を選択する。

 完了を押すと床に転がっていたゴブリンメイジの魔石がエフェクトをまき散らしながらブルーに吸い込まれていく。

 光が収まるとさっきと何も変わった様子が見られないブルーがいた。

 見た目は何も変わっていない気がしたけど、ステータスを確認すると変化があった。


 名前:ブルー Lv1→3

 種族:スライム

 カテゴリー:一般種

 HP:100

 物理攻撃力:3

 物理防御力:8

 魔法攻撃力:0→1

 魔法防御力:2

 素早さ:1

 SP:0→2


《スキル》

『体当たりLv1→2』


『プチファイアLv1』new


『マジックシールドLv1』


 ゴブリンやゴブリンメイジと戦ったことでブルーのLvが3になって、SPが2増えている。

 それにゴブリンメイジの魔石を合成したことで新しく魔法適性を獲得してる。

 それもあって、魔法攻撃力が0から1に上がってるし、魔法スキルの『プチファイア』を取得してる。

『体当たり』よりもクールタイムが長いけど、遠距離から攻撃できるのは大きい。

『マジックシールド』もあるし、次はゴブリンメイジ相手でももっと上手く立ち回れる気がする!



【ブルーが特殊進化条件を満たしました。進化させますか? はい いいえ】



「……え、なにこれ!?」


 オレの目の前に急にウインドウが目の前に表示された。


 モンスターを進化させる方法は二つある。

 一つはモンスターのLvを10の倍数まで上げるだけど、ブルーのLvはまだ3。

 二つ目が特殊な条件を満たすこと。


 今回のブルーが完全に後者。

 魔法適性を得たことかプチファイアを覚えたことで進化条件を満たしたと思う。


 進化しても必ず強くなるわけじゃない。

 でも、 ブルーはスライムでLvが3。

 これなら仮に弱くなっても誤差の範囲。

 進化させても問題はない。


 ブルーも小さく震えて、進化できるようになったことを喜んでいる……と思う。

 よし、ブルー進化だ!


 オレは目の前に表示されているウインドウの「はい」を選択した。


 その瞬間、ブルーが眩い光に包まれた。

 光が収まるとブルーの体が青から赤く染まり、まるで火花が弾けるように輝く。


 プル、プルプルン


 あ、この感じはブルーだ。


 オレははすぐにブルーのステータスを確認する。



 名前:ブルー Lv1

 種族:フレアスライム

 カテゴリー:一般種

 HP:130

 物理攻撃力:3

 物理防御力:8

 魔法攻撃力:8

 魔法防御力:5

 素早さ:2

 SP:2


《スキル》

『体当たりLv1→2』


『プチファイアLv1』


『マジックシールドLv1』『火属性耐性Lv1』


 おお、ブルーの魔法攻撃力と魔法防御力が上昇している。

 あ、素早さも1上がってる。

 これは地味に嬉しい。

 それに『火属性耐性』を新しく取得している。

 火属性に特化したこの進化は大当たりと言っても過言ではない気がする。

 ここまで強くなれば『ゴブリンの集落』以外のダンジョンでも戦えそう。


 早速進化したブルーのレベリングといきたいけど、今日はもう遅い。

 レベリングはまた明日にしよう。

 それに床に散らばっているゴブリンの魔石をどうにかしないと。

 どうせ使い道は無さそうだし、ショップで売却してポイントを増やそうかな。

 ポイントを増やしておけば、今後いろいろと重宝するだろうし。


 使わなくなったモンスターや合成素材をショップで売却することができる。

 売却するとポイントが手に入る。

 ゲーム専用の通貨みたいなもので、いろいろなことに使える。

 ポイントの一番の使い道はモンスターや合成素材の購入かな。

 ポイントさえ積めばショップで簡単に最強種である幻想種の竜を購入できる。

 あくまでもポイントがあればの話だけど。


 竜をショップで購入しようと思ったら最低でも数兆ポイントは必要となる。

 まあ買えない竜は置いといて、ショップは他にもモンスター用の武器や防具、チュートリアルで無償配布されている召喚石なども買える。

 珍しいものだとモンスターの卵なども売っているけど、買うプレイヤーはまずいない。

 孵化させるのが面倒、生まれてくるモンスターは召喚石同様にランダム。

 時間を掛けて孵化させた卵から雑魚モンスターなんかが生まれたら目も当てられない。


 ウインドウからショップにアクセスしてオレはゴブリンの魔石を売却した。

 それで得たポイントは5。

 ゴブリンの魔石1個で1ポイント。

 まだ駆け出しのGランクとはいえ、これはひどい気がする。

 5ポイントじゃなにも買えんし!


 ……はあ、とりあえず、今日の所はこれで終わりかな。

 進化したブルーのLv上げはまた明日。


「ブルー、今日はお疲れ!また明日頑張ろう」


 小さく体を震えさすブルー。

 明日も頑張ろうって言ってるのかな。

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