第17話 裏カジノ、新たな「投資」の場
スイス銀行の莫大な資金を手にし、守銭奴探偵として「再誕」した金賀一の脳裏に、真っ先に浮かんだのは、かつて署長と蒲郡が裏金洗浄に利用していた裏カジノの存在だった。単なる金儲けの場所としてではなく、この街に残る「闇」の残滓を炙り出す、新たな投資の場として。
金賀一は、鮫島に電話をかけた。
「鮫島さん、例の裏カジノ、まだ動いてるんですよね?」
鮫島はため息まじりに答えた。
「ああ、完全に潰したわけじゃないからな。幹部は逮捕されたが、末端の連中はまだ潜伏しているだろう。それがどうした?」
金賀一は不敵な笑みを浮かべた。
「俺は今、人生最大の『投資』をしようと思ってるんですよ。場所は…裏カジノだ」
鮫島は思わず言葉を失った。
「馬鹿なことを言うな! やっと街の闇を払ったばかりだろうが!」
「だからこそですよ。あのカジノには、まだ隠れた金の流れがあるはずだ。それに、俺はあの場所で、黒岩さんの本当の『金』と出会ったんだからな」
金賀一の目は、獲物を狙う猛禽のようにギラギラと輝いていた。彼は、黒岩の残した莫大な資金を使い、裏カジノを舞台に、新たな「金儲け」…いや、残された「闇」を徹底的に叩き潰す計画を立てていた。
潜入、そして金の匂い
金賀一は、莫大なスイス銀行の資金の一部を使い、裏カジノへの潜入計画を立てた。彼は素性を隠し、豪遊するギャンブラーとして裏カジノに足を踏み入れた。金賀一の狙いは、単に大金を稼ぐことだけではなかった。カジノの運営システム、ディーラーの動き、そして客の顔ぶれから、いまだこの街に残る不正な金の流れと、それを動かす裏社会の残党を炙り出すことだった。
彼の直感は、依然として鋭かった。カジノの奥深くに、まだ誰も知らない隠された部屋があることを察知した。そこには、署長と蒲郡が逮捕される前に、最後の悪あがきとして隠蔽した、新たな裏金のルートが存在するに違いない。
金賀一は、高額なチップを積み上げ、巧みな話術でディーラーや他の客から情報を引き出していった。彼の計算された行動と、圧倒的な財力は、裏カジノの関係者の注目を集め始めた。
「あの男、一体何者だ? 金の使い方が尋常じゃないぞ」
「ああ、まるで金が湧いてくるようだ。何か裏があるに違いない」
裏カジノの奥で
数日後、金賀一は裏カジノの幹部の一人と接触することに成功した。金賀一は、その幹部に多額の金をちらつかせ、カジノの「特別な部屋」への案内を要求した。幹部は当初渋ったものの、金賀一が提示した金額に目がくらみ、ついに彼を案内することにした。
隠された扉の奥には、予想通り、小さなサーバー室があった。そこには、署長と蒲郡が関与していた、もう一つの裏金洗浄システムが稼働していたのだ。このシステムこそ、あのウイルスの最終的な目的地であり、もし起動していれば、全ての裏金が完全に闇に消えていたはずの場所だった。
金賀一は、ハッカーに指示を出し、そのシステムに残されたデータの回収を命じた。そこには、署長と蒲郡が消し去ろうとした、最後の不正の証拠が眠っていた。金賀一の「投資」は、単なる金儲けに終わらず、この街に残る最後の闇を暴くための、決定的な一手となったのだ。
金賀一は、新たな「金塊」を手に入れた。それは、スイス銀行の口座に眠る莫大な資金と、裏カジノの奥から掘り起こされた、最後の不正の証拠。彼は、この二つの「金」を手に、再びこの街の闇に挑む。果たして、金賀一は、この裏カジノのシステムに残されたデータで、何を明らかにするのだろうか?
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