第7話 無事に終わった治療と質問男の正体

「はぁぁぁ、終わったぁぁぁ」


「お疲れ様でした」


「お疲れ様です」


「2人も時間外なのに、しかもこんなに遅くまで、ありがとうね。お疲れ様」


「何言ってるんですか。私たちは先生の助手なんですよ」


「そうですよ。それなのに先生だけ残して、帰れるわけがないじゃないですか。それに、先生の治療法を知らない人には、必ず誰かが説明しなきゃいけないんです」


「先生が自分で話し始めたら、話が止まらなくなるし、相手に引かれるかもしれない。それに、下手をしたら理解されずに文句を言われる可能性もありますからね」


「先生の治療法は、確かにちょっと? いや普通に変ですが。それでも効果は本物ですからめ、それに文句を言われるのは。だからこそ、ちゃんと説明して納得してもらう必要があるんです。それは私たちの役目。だから、先生を置いて帰るなんてありえませんよ」


 褒められているのか、おかしいと言われているのか、これはどっちなんだ? 


 魔獣たちの治療は問題なく終わったけれど、それで私たちの仕事は終わったわけじゃなく。それからも、それぞれいろいろと動き回っていた私たち。


 この世界にはやっぱり、小説やゲームなんかによく出てくる、騎士団や冒険者ギルドや商業ギルドといったものがあって。冒険者の強さは、ランクによって分けられている。1番ランクが高いのがSSSで、SS、S、Aと続いていき、1番下のランクがEランクだ。


 ライクはこの街で暮らしているCランク冒険者で、冒険者グループのリーダーをしていて、グループのランクもCだ。


 そんな彼らは私のことをちゃんと分かっているから、これと言って説明することもなく、治療の後は、一応の薬を渡して終わったんだけど。

 

 ライクたちは今日、この街に住んでいない、他の街からやって来た冒険者グループと行動を共にしていて。 その人たちは私のことを知らないでしょう?

 だからレイナとトールがその人たちに私の治療方法を、全ての能力について話すのはよくないから、話せる範囲で簡単に説明してくれたんだ。


 そうし私の治療と説明が終われば、ライク達は騎士団の人たちと場所を移動して行った。何があったのか……。おそらく騎士団の方と、冒険者ギルド、商業ギルドで話しをするんだろう。

 その話し合いによっては、もしかしら、何か対策が取られるかもしれない。街の住民や、この街を訪れる人たちのためにね。


 まぁ、その辺は向こうに任せるとして、1度綺麗に片付けた治療院は、今の騒ぎでまぁまぁ、いや結構大変な事になってしまい。その片付けを、レイナとトールはただでさえ働く時間が過ぎているのに、最後まで一緒に片付けてくれたんだ。


「はぁぁぁ、それにしても、まさかの治療だったね。2人とも、今日はゆっくり休んでね。……って、そうだった。騎士団の人にお礼を言うのを忘れたよ。あ~、明後日休みだから、その時にお礼を言いに行こうかな」


 あまりのバタバタに、完璧にお礼を言うのを忘れていた。


「ねぇ、騎士団長って、どんな人? 名前は? あんまり気にしてなかったから、名前を聞くこともなかったの」


「お名前はユアン・グレイモンド様で、どんなって言うか、先生はもうお会いになってますよ」


「え?」


「治療前に、『匂いを嗅いで治療しないのか?』とか、『そういうものか』とか、いろいろ質問していた騎士が、騎士団長です」


「あの質問男か!!」


「質問男って、あの方は男爵家の人間ですよ」


「ああ、そうなの」


 追放される前なら、いろいろ気をつけていたんだけど。今は一般市民だから、その辺全然気にしてなかったよ。気をつけないとね。


「もう少し、匂い以外にも興味を持ってくださいよ」


『無理だろうな』


『無理でしょうね』


『え? 無理でしょう!』


 そこ、3匹煩いよ。


「それじゃあ、私たちはこれで帰りますね」


「お疲れ様でした」


「お疲れ様、今日は本当にいろいろありがとう! また明日ね!」


 レイナとトールが帰って行く。そうして2人がいなくなるとすぐに、私はライカのお腹に向かってダイブして匂いを嗅いだ。


「すぅすぅ、はぁぁぁ、落ち着く」


『お疲れ』


『お疲れ様です』


『ま、今日は頑張ったからね』


「私の癒し!!」


 さて、お礼か。あの質問の仕方、お礼をしに行ったらいろいろ聞かれそうだな。

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