最後の夏祭り

みららぐ

①:例年通りの夏祭り?



「××神社夏祭り 2025」


と書かれた大きなポスターが、街のあちこちに張り出されている。

のを、最近よく見る。


アイスを頬張る中学生の団体が屯する夕方のコンビニ。

私が通う高校の広い生徒玄関の掲示板。

親にお使いに行かされた近所のスーパー。

この間、風邪で病院に行った時にも見かけた。


昔は「夏祭り」が大好きだった。


神社に並ぶたくさんの色とりどりの屋台。

おもちゃが並ぶくじびきや、わたあめ、りんご飴、おまけしてくれるから揚げに、たこ焼き、チョコバナナ…。

そのうちに海辺の夜空に打ち上げられる大きな花火…。

おばあちゃんに可愛い浴衣を着せて貰って、当時仲が良かった幼馴染とも行ったことがある。


夏祭りは、まるでどこか現実離れした夢の世界のように思う。


そのせいか、夏祭りが近づくと、周りはみんなソワソワと落ち着きがなくなる。

お母さんは張り切って料理を作り、お父さんは近所の人達と楽しそうにお酒を飲む。


…ほぼ例年通りの光景。

もう17歳になった私は、夏祭りに対して幼少時代ほどの興味はなくなったが、

きっとその光景が、今年も続くんだろう。


そう思っていた。



夏休みに入る直前の放課後。




にいきなり夏祭りに誘われるまでは。




  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る