私立あかつき学園 命と絆とスパイ The Spy Who Forgot the Bonds
サブサン
プロローグ「深淵の不穏」
【読者の皆さまへ】
お読みいただき、誠にありがとうございます。
・この小説はカクヨム様の規約を遵守しておりますが、設定や世界観の関係上「一般向け」の内容ではありません。ご承知おきください。
・[残酷描写][暴力描写]があります。
・短編シリーズ始めました(2025年8月16日より)
https://kakuyomu.jp/works/16818792438682840548
・近況ノートに、主要キャラクターイラストや相関図を用意しています。イメージ補助にお役立てください。
※最新の相関図(近況ノート)※「キャラごとのキャッチフレーズ」付き!
https://kakuyomu.jp/users/kyotobond007/news/16818792437582060358
※コンセプトアート
https://kakuyomu.jp/users/kyotobond007/news/16818622177450647790
※コンセプトアート総合目次
https://kakuyomu.jp/users/kyotobond007/news/16818792437366460945
・感想、考察、質問、意見は常に募集中です。ネガティブなものでも大歓迎です。
以上、よろしくお願い致します。
【本編】
郡真県あかつき市。
私立あかつき学園。
放課後の室内プールにホイッスルが鳴り響いた。
――ピーッ!
水泳部員の一人が勢いよくスタートを切った。
――バジャーン!
しなやかな身体が水面に突き刺さる。スタートダッシュは誰にも負けない。
スイムキャップの縁から、明るい茶色の髪が少し見えている。
誰が見ても、見た目に活発そうな少女だった。
プールサイドの部員たちが声を上げる。
「さすがひなた!」
「スタート女王!行け―っ!」
「速さを磨け―っ!遅いぞーっ!」
彼女は、
身長150センチ、2年生で一番小柄だが、水泳部きっての秘蔵っ子。
(負けない!)
水をかき分ける度に、力強い水しぶきが上がる。
まさに小さな巨人と言ったところだ。
だが——
ひなたのすぐ後ろから迫ってくる、安定した水音。
(京子……!)
プールサイドの部員たちの怒号が大きくなる。
「京子ーっ!速いぞ!いいぞ!」
「行けー!追いつける!」
「碧唯さんも、あの小さい体ですごいけどな!」
「逃げ切るか?それとも……」
すぐ後ろには、後半にめっぽう強い京子が迫る。
静かで繊細――だけど水の中では鋭い追い上げを見せる子だ。
(水面の向こう……私、ぜったい――)
ひなたが追い抜かれまいと更に力いっぱい水をかいた、そのときだった。
(水が、耳元で不自然にねじれた――そんな感覚だった)
――キィィィィィン……
ひなたの背中に、寒気のようなものが走る。
耳の奥をつんざくような、甲高い異音。
ひなたは思わずストロークを止め、水中で立ち止まる。
(なに、この音……水の中で?)
部員たちが怒号を上げる。
「なんだよ!最後までやれよ!」
「どうした?!碧唯さん!」
ゴールした京子が、プールサイドからひなたを見下ろす。
スイムキャップの縁から、黒髪が見える。
京子はか細い声を上げる。
「……ひ、ひなた?い、いつもは……あきらめない……のに……その……」
ひなたは顔を出し、息をつきながら答えた。
「さっき……変な音、しなかった?」
「え……お、音……?」
京子は少し目を泳がせながら、静かに首を傾げる。
「う……ううん……わ、私は……何も……」
ひなたは京子に問いかける。
「ポンプの音かな?また故障?最近多くない?」
「そ、そうかも……この、プール……霧島川の水……引いてるから……それ……かも……」
「そっか……」
ひなたはプールサイドに手をかけ、水面を見つめた。
誰も聞こえていない。けれど、あの音は確かに“何か”だった。
(本当にポンプの故障……? 違う……でも、何かが……呼んでた)
水面には、ただ穏やかな波が広がるだけだった。
ひなたはふと、プールから窓に視線を映す。
「――夕方だね。帰ろっか」
みんなで泳ぐ時間が、一番好き――ひなたはそう思った。
みんなが笑いながら上がっていく中、ひなたはそっと手を止めて、夕焼けが広がる水面をじっと見つめていた。
(でも、“あの音”……一体……)
――キィィィィィン……
どこかで、不穏な音がまた鳴っている気がした――
【後書き】
お読みいただきありがとうございました。
「私立あかつき学園 命と絆とスパイ」
はっきり言って[タイトル詐欺]ですw
読み進めるほど“本気のリアル”が襲ってきます――。
初見さん!感想!質問!考察大歓迎!
お気軽にどうぞ!
今後もよろしくお願いします。
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