『祈現の碧』[PPP]Prevalent Providence Paradigm
宇喜杉 ともこ
第1章 檻神─オリガミ
第1章 檻神─オリガミ 第1節
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──江峰東高校のとある一室で、ある教師と生徒が会話をしていた。
「一つ質問だ荒志郎。神とは、なんだと思う?」
「これまた難しい質問をしますね、八敷先生。……ワタシであれば、人の理解が及ばぬ域に位置するものと定義しますが」
「その認識は大体正しいだろう。だがもっと言うならば、その根源には『願い』が込められていると考えられないか?」
「と、言いますと?」
「神というのはそれら全てに役割が当てはめられている。豊穣、戦争、災害。それらは人の力では御し得ない力だ。故に我々はそれらに『願う対象』を作り上げた。前回の『課外活動』を覚えているか、荒志郎?」
「ナナシの怪異54号ですか。ええ、覚えてますよ。ほんと、あの時は苦労しましたよ。まさかあの幽霊相手にはワタシの『腕』が通用しないだなんて」
「それもあるが、私が話したいことは奴の正体だ」
「確か子供たちの願いを叶えようと強力な力を得た幽霊でしたよね?」
「そうだ。だが逆の考え方もできるんじゃないか?子供達の願いという『信仰』を得て強力になったと」
「つまり、あの幽霊は彼らの神になろうとしていたということですか?」
「おそらくな。あのまま行けば我々の手には負えない事態になっていただろう」
「それは想像もしたくないですね」
「怪異の事件は人々の『願い』が大きく関わることが多かったが、今回の『事件』はそれ以上に厄介なことになるかもしれない───」
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