第4話 あなたが好きなの
ここ数日の前島さんに怪しい動きはなかった。
稲辺さんの言っていたことはウソだったのだろうか。
心配になりつつも、俺は前島さんと良好な関係を築き上げていた。
――ある日。
午前中の授業を終え、お昼を食べようとした時だった。
前島さんがひとりでどこかへ向かう姿を見かけた。
……おかしいな。
ここ最近は、必ず俺と共に行動していたのに。
なぜ今日はひとりで?
ま、まさか……稲辺さんの言っていた情報は本当だったのか!?
俺は気になって後をつけることに。
【屋上】
扉を開けようとすると、隙間から前島さんの正面の姿が見えた。そして、背を向ける誰かの姿もあった。
……女子?
どこかで見たような背中だ。
「――前島さん、佐藤くんと付き合っているんだね」
「……そ、そうだけど、あなたに関係ある?」
この声。片方は前島さんで間違いないが――背を向けてる方の女子は『稲辺さん』で間違いない!
なぜ、前島さんを連れ出して?
「おおありよ」
「え……」
稲辺さんは、前島さんに抱きついていた。
……え?
俺もその光景に驚愕する。
ちょ、まてまて。
「前島さん、どうして佐藤くんなんか……。あんな男より、私でしょ」
「……稲辺さん、これって……」
「私はあなたが好きなの」
な、なにぃ!?
つまりなにか。
稲辺さんは、わざとあんな情報を俺に渡して前島さんに近づけさせないようにしていたのか。
そして、彼女自身が前島さんを好きだってことか。
百合な光景を見せられて、俺は呆然となった。なんだこれ。
前島さんも困惑しまくっていた。そりゃそーだ。
このままでは大変なことになりかねないので、俺は乱入した。
「やめるんだ……!」
さて、ここからどうしたものかね……。
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