炬燵に蜜柑、狐神様と蛇神様は、和風ファンタジーだからこそ!

正直なところ、和風ファンタジーは少し重く、洋風ほど頭を空っぽにして読めない印象があり、これまでは敬遠しがちでした。
しかし本作は、序盤から手に汗を握る展開がありながらも、穏やかさと愛しさをあわせ持ち、最後には心がほっと癒される作品です。

若くして使命を担うカッコいいご当主、影で支える知的系男子、健気で豪胆なヒロイン、たのしい侍女たち、ぷにぷにほっぺのお子さま、小物な悪役、ミステリアスな黒子、迫力あるラスボス、愛くるしい小動物、じれじれな恋愛要素まで盛りだくさんです。

登場人物たちはそれぞれ魅力的で、皆が主人公として物語を進められそうなほど個性が際立っています。
こまやかな世界観の中、本作で描かれているのはほんの一部だけ。
他家や他の神様も気になる…ぜひ番外編や続編を読ませていただきたいです。

炬燵と蜜柑は家族が集まる場所として印象的。
登場人物たちが背負うものは過酷ですが、その中でも緊張がほぐれる穏やかな団らんが心に残りました。
和風ファンタジーの魅力を、この作品で味わってみてください。