第6話 気絶

月曜日、学校にいくと大変なことが起きた。


いつものように舞におはようと声をかけたところ、いつもならテンション高くおしゃべりが始まるのに、今日に限って返事がなく、机でうつ伏せになっているので、調子が悪いのかと覗き込んだら、うつ伏せたまま気絶していたのだ。

「大丈夫?舞!」

「舞?舞!」

何も返事がない。頬をツンツンしてみるが本当に気絶しているみたいだ。


…と言うわけで、私が動転している間に舞は担架で保健室に運ばれていった。いろんな人に何がったのか聞いてみても、朝来たらこうなっていたと口々に言うだけだ。


ロングホームルーム中気もそぞろで、作業が手につかない。

舞は私の親友だ。その舞という人間を考えてみて、気絶した理由を考えてみる。


本人は運動神経が良く、何かにぶつかって気絶するなんていうことはないだろう。

体調が悪かったのか…?けど、顔色は悪くはなかった気がする。

どちらかというと、良い夢を見ているようなにやけた顔だった…ような。


興奮しすぎて気絶した可能性、はあるかもしれない。

恋バナが大好物な舞のことだから、いつものキャッキャと恋バナしているグループに混ざって盛り上がっているうちに、興奮しすぎてぶっ倒れた…のはありえるかもしれない。


(やめよう…やめよう…詮索するのはやめよう)

クラスではいろいろな情報が錯綜している。本人から事情が聞けない限り何が起きたのかわからない。

ほんとに何が起きていたんだろう?

朝、舞は1番に来て、教室の鍵をよく開けているらしい。(私は大体門が閉まるギリギリに来るので、知らない。絶対に最後)


モヤモヤしたまま午後の授業が終わり、いつも通り吹奏楽部の練習をして自宅に帰った。

帰って宿題をしてからLINEを使って、舞に聞いてみた。

『舞、大丈夫?今日何があったのか、嫌じゃなかったら教えてくれない?』

7時27分にLINEをして、9時過ぎには寝た。その日は既読にはならなかった。

朝起きて、学校に行く支度をしてもまだ返信はなく、いよいよ舞のことが心配になった。

そんな訳でいつもよりほんの少し早めに朝学校に着くと、舞が元気そうに座っていた。

「楓!」

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