兵庫県『報道冤罪事件』は何故起きて、マスコミは何故永遠に信用されないのか?
スヒロン
第1話 それは急に始まった。普段通りだが、普段以上に異常バッシング
「カニおねだり知事」
「スキーウェアおねだり知事」
「パワハラ知事」
それは急速に膨れ上がり、マスコミは一斉に兵庫県に駆け付けた。
なんせ、『告発した局長は自殺している』のである。
正義の味方、大手マスコミが悪の斎藤知事を討つ出番である。
さらに糾弾する中で、なんと二人目の犠牲者が出た!
連日のように朝から晩まで「おねだり知事報道」の中で、メンタルの疾患になってしまった職員が自殺してしまったのだ。
さらに正義の味方、巨大マスコミは追及していく。
そしてある時にふと、誰かが思った。
「で、結局のところ局長さんの自殺の理由は何で、カニおねだりしてたからって何だというんだ?」
(え・・・・?)
正義のマスコミ達は一瞬だけ我を取り戻したかもしれないし、そうじゃないかもしれない。
『今、誰かなんか言ったか?』
『妙なことを言うな! まるで俺達が悪人とでも言いたいのか?』
「いや、そうじゃなく、局長さんの自殺理由が不明じゃないかと。そもそも『正義の告発』で今から、悪人知事を追い詰めようという時になんで自分で死んだんだ?
それとメンタルの疾患になった職員は、俺達が追及しすぎたからなんじゃないのか?」
『何を言ってるんだ・・・? コイツは』
『俺達は正義の大手マスコミだぞ! 訳のわからんいいがかりをつけるな!』
そして、悪の知事、斉藤は辞任した。
どうも「スキーウェアのおねだりは、現地の店員が否定してる」という怪情報があるが、そんなはずはない! 正義の大手マスコミの勝利だ!
しかし、”悪の斎藤知事”は滅びなかった。
なんと卑劣にも「丁寧に選挙活動をやり直す」という手で、もう一度知事の座に上り詰めようとしているのだ!
「よろしくお願いします」
「また一からのやり直しです! よろしくお願いします!」
市民全員にぺこぺことお辞儀をし、支持率を回復させていく”悪の斎藤知事”
正義のマスコミ達は
『何を無駄なことを・・・』
『斎藤は知事の中でも最弱・・・ククク』
『カニ知事が、丁寧にお辞儀して再選挙とは、悪人知事の風上にもおけぬ」
『まあ、所詮ヤツの再選はあるまい・・・我らマスコミ四天王がかなり大袈裟に情報をバラまいた。スキーウェア捏造報道はちと余計だったか・・・クフフフ』
しかし、斉藤もなかなかに強かである。
兵庫県民は冷静になって考えてみると、『高校の無償化』『天下りを禁止』『100億円の予定の宿舎を何故か一千億円に変えようとするナゾの職員を叱責して、元の金額に戻してくれた』
などの実績を思い出し始めるのだった・・・
///////
慌てたマスコミたちは、再び斉藤バッシングを開始する。
そして与党から、強力な出馬候補も出てきて今度こそ斉藤知事の再選を防げたか・・・そのはずだった。
しかしここで、極めて厄介な人物が出てきたのだった。
立花孝志
NHKだけでなく、マスコミを憎む男である
前科持ちだが、行動力は高い
亡くなった局長が、パソコンに「不倫日記」「○○写真館」などの奇妙な「作品」を作っていたという情報を流すのだった。
実際、その後のことを考えると、これを暴く必要はあったのか・・・?
ともかく、どうやら局長のパソコンの中身は本物らしい。
一気に風向きは変わり、斉藤は再び大差をつけて兵庫県知事に再選するのだった。
中立のはずの報道番組は「この敗北は、我々メディアの奢りだったのかもしれません」と奇妙な”敗北感”を滲ませ、敗北した与党の議員は「何か斉藤を崇める宗教みたい」と捨て台詞を吐くだけだった・・・
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