うたかたの舟
Rie
― とどかぬものは、きれいだった ―
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ゆらり、 ゆらり、
うす紅と 藍のあいだで
水が やさしく ゆれるだけ
紙のこよりは ほどけそうで
きみの指より うそをつかない
そろり、 そろり、
沈めた指先
願いは 泡のように にじむ
見上げれば
きみのまつ毛に 夕暮れが宿り
いまにも なにか 落ちそうだった
ぽとり、
赤い球が 水に跳ね
空の色だけ 揺れていた
取れたヨーヨーは わたしのもの
でも
きみの笑顔は 持ち帰れない
ひらり、 ひらり、
ことばは今日も 水の上
沈まず、届かず、 夏を過ぎゆく
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うたかたの舟 Rie @riyeandtea
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