第38話 第三者の手助け
私たちが警戒しながらもドアを開けて中に入ると、どこかで嗅いだことがあるコーヒー豆の匂いがした。私は、その匂いを最近何度も嗅いでいるような気がしてならない。
私がそう思って気にしていると、高城先輩もその匂いに気づき心当たりがあったのか驚いたような顔をしている。高城先輩が知っているぐらいのものということは、学園のどこかで嗅いだことのあるものなのだろう。学園でしか売っていないコーヒー、学食、先生たちが飲んでいるコーヒー、いろいろ考えたがどれも当てはまらないような気がした。
「何であの人が…」
高城先輩がそう口にした。まさか匂いではなく、この部屋にいる第三者が誰なのかわかっていることに、私は驚いた。
考えれば考えるほど、何かを思い出してきた。このコーヒーは、安物ではなくいいコーヒー豆であることが引っかかっていた。
「結構なブラックの匂い…。あ、」
思い出した。この匂いは、生徒会室で嗅いだことのある匂いだ。そして、あの人しかそのコーヒーを飲んでいるのを見たことがない。私は、それに気づいた途端今すぐに引き返したくなってきた。
「意外と遅かったね。高城くんと藤堂くん…」
私たちがリビングのドアを開ける前に、ドアが開き最近見慣れた顔が立っていた。
「何でここにいるんですか?」
「何でって、ある知り合いから藤堂くんたちが探し物をしていると聞いてね」
莉久さんだ。よく考えてみれば、会長と莉久さんも中学が同じなわけだ。そして、二人の親友の先輩ともなれば、数回は話す機会があってもおかしくはない。でも確かに、今すぐに見つけるとなれば、会長の手を借りるのが最適だろう。
「どこにあるか知っているんですか?。できるなら早く見つけ出して、手がかりにしたいんです」
私がそう言うと、会長がリビングではなく脱衣所に向かっていった。脱衣所に入って、洗面台の棚の中から箱を取り出してきた。その箱は、防水加工がされているのか少し表面が特殊だった。
「この中に隠されている。鍵は、僕にもどこにあるのかわからないが」
私は、少し残念に思った。目の前に探していたものがあるというのに、手が届かないなんて。鍵がどこにあるか。二度にわたってこの部屋を探索したというのに、鍵なんて見たことがなかった。
「鍵かぁ…」
高城先輩が顎に手を置いて、考えるポーズをした。
「あ!そういえば!」
いきなり高城先輩がそう声にした。何かを思い出した高城先輩は、リビングに走って部屋の隅に飾ってあった観葉植物の鉢を持ち上げた。
「何で知ってたんですか?」
「この前読んだメモ帳の中に、鉢の下にカギって殴り書きで書いてあったの思い出したの」
「そう言えば。大智ってそういう隠し場所とかを忘れやすいんだったな」
会長も昔を思い出したような顔をしていた。そんな会長が手に持っていた箱に、高城先輩が鍵を差し込むと、ぴったりの大きさだった。高城先輩が、その鍵を回すと「カチャ」と音を立て箱が開いたのがわかった。
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