千年の旅

厳座励主(ごんざれす)

本文

迷い子が 帰らぬ森に 風が鳴る まだ私だけ 忘れられない


木漏れ日の 記憶を抱いて 旅に出る 魔法の杖は 折れたままでも


良き強敵ともと 呼んだドラゴン 夕暮れに 炎のような さよなら告げた


蒼の花 あなたがつけた 名前さえ 忘れてしまう 千年の旅


懐かしい あなたの使う 呪文さえ 唱える声も 震えて消える


約束は 永久とわに眠る 遺跡へと 置き去りにした あなたの幻


戦士らの 墓標に添えた 銀の羽 もう飛べぬまま 大地に塗れる


帰る場所 もう無いけれど 指さした 星座はきっと あの頃のまま


さよならを 幾度も告げた 旅の果て 今もあなたに 会いたくて泣く


ああ森よ もう一度だけ 抱きしめて 帰らぬ者が 還れるように

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