第3話 時代の狭間で
ミメーシスは魔法陣作製家である。
仕事は自分に合っていると思う。人との会話も少なく、ひたすら魔法陣を製図するだけで評価される。魔法陣製図自体は学生の頃から行っていたのでもう慣れたものだ。
仕事は忙しいとはいえ、嫌いではない。
しかしそんなミメーシスも悩みを抱えていた。
魔法陣を製図するのは近年、簡単になっている。昔は卓越した魔法使いの力量に依存していたが、製図を補助する魔法具が発明されたことで製図自体は誰でも行えるようになった。最近だと自動製図ゴーレムといったものも生まれてきている。
魔法陣製作家も無くなると述べる専門家も多くいる。
ミメーシスは悩んでいる。
あと何年この仕事をやれるのだろうか、と。
「先輩ちょっとお時間よろしいですか?相談したいことがあるのですが。」
話しかけるのは、ミメーシスと同じチームの1年目。どうやら魔法陣の作成で詰まったところがあり相談に来たようだ。
後輩は優秀でミメーシスが教えたこともすぐに吸収してしまう。会長も気に掛ける期待の新人。
「ええよ、一緒に製図しよか。」
自分も後輩も同じくらい製図を愛するもの同士。
たとえあと数年で仕事が無くなろうとも、それまでは積極的に学ぶ意欲のある後輩は育ててやりたい。ミメーシスはそう思うのだった。
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