自由を謳歌するのって何て素敵な事なのかしら
行く当ても、目的もなく、ただ感情のままに王都を飛び出したマリアンヌはふと冷静になる。
「ここは何処かしら?」
マリアンヌが冷静になった際には首都から数十キロ先にある森の中にいた。
普通の人間であれば不可能な距離だが、神器の力もあり無意識の内に魔力で自分の身体を大幅に強化していてマリアンヌは少し散歩した程度のつもりで数十キロも進んでいた。
「私ったら、ついつい歩きすぎちゃったみたいね。恥ずかしいわ。でも、これが自由ってものかしら。
・・・・・・私これから何をしようかしら?自由になったわ。自由になったけど、私が今したいことって・・・」
その時だった。マリアンヌの頭に思い浮かんだのは自分の死の間際助けに来てくれた一人の青年の姿であった。
彼の名前はバルバッセロ。
ディステリア王国最強の男であり、帝国から国境を守る英雄である。
マリアンヌが唯一身体を捧げても良いと思った男であり、人望、性格、身分、財力、強さどれをとっても世界最高峰の力を持っていた。
「バルバッセロ、今回の世界ではどうなるのかな。私が干渉しないから多分ディステリア王国の為に国境を守護し続けるのかしら・・・。一目だけでも彼に逢会いたいな。別に会って何かをしたいつもりもない。ただ一目、一目だけ今回の彼に会いたい。
そうだ。会いに行こう。だって今の私は誰にも縛られない自由なのだから」
そう決めたマリアンヌはすぐさま行動に移す。
魔力で身体を大幅に強化させて、彼のいる国境沿いの要塞まで走り出す。
マリアンヌはもう誰にも縛られいないのだから。
とはいえ、マリアンヌとて人間である日が完全に暮れてしまった夜道を歩くのは危険であるし、いくら肉体を身体強化しているとはいえ疲労は感じる。
手ごろな町を見つけて宿を取り休息を取った。
空間魔法を使える彼女は常に普通の人が人生10回やり直しても一生遊んで暮らせるだけのお金を保有しており、町一番の高級宿に泊まる(具体的には10億ゴールドぐらい・1ゴールド10円、物価は日本よりも安い。経営している商会のお金含め自分の持つ全ての財産を空間魔法に収納している為こんなに持っている)。
高級宿といっても公爵家には劣っていたが、常にメイドに世話をされる生活をしていたマリアンヌにとって一人で夜寝るという行動自体が新鮮であり自由を感じた。
「自分の食べたい時間にご飯を食べる。着替えたいときに自分で着替える。寝たくなったら自分で寝る。好きな時間に好きな本を読んでいくら夜更かししても怒られない。
フフフ。なんて、なんて自由で背徳的なのかしら」
マリアンヌは人生で初めてとなる一人の時間を満喫していた。
夜が明け、宿をチェックアウトした後は町を観光がてら歩く。
マリアンヌの今の主目的はバルバッセロに逢うことである。
しかし、人生で始めた手に入れた自由の時間を謳歌する権利もまた彼女にはあった。
今までは必ずついていた護衛にメイドもいない。
真の意味で自由にマリアンヌは町を歩く。
自由に食べ歩きをして自由に町を探索し、自由に物を買う。
マリアンヌは思う存分にお金を使い自由を満喫した。
「嬢ちゃん、随分と羽振りがいいみたいだな」
マリアンヌは公爵令嬢であり元女王であった。金銭感覚は当たり前の話であるが普通の人とはかなりずれていた。
更に言えば格好も公爵令嬢のお気に入りのドレスと誰の眼から見ても豪華なものであった。
言い方悪いが、まあそういう輩に狙われるよなという話である。
ただ一つ相手側の誤算として彼女が超一流の魔術師かつ数多の経験から倫理という枷が外れた化け物だということであった。
「そうかしら?このくらい普通じゃなくて」
「普通か。まあお貴族様からみればそうだろうなぁぁぁ。じゃあ俺らにもそれを分けてくれよ?断るようだったらその身体で支払って貰おうかな」
下品な笑みを浮かべて嘲笑をするのは町でも有名な4人の荒くれ。質の悪いことに一人が貴族の子息なせいで誰も彼らを咎めることが出来なかった。
周りの市民は触らぬ神に祟りなしと遠目に見守るだけで助けようとはしない。
ただ今から起きる残酷な様子から目を背けようと逃げるだけであった。
それは正解であった。
無詠唱闇魔法・闇飛ばし。
闇を飛ばす技。たったそれだけの技。
その闇は荒くれの脳天を貫き全員を絶命させた。
「さて、買い物もしたし。そろそろバルバッセロの所に向かおうかしら。身体強化発動」
マリアンヌは今殺した荒くれのことなど忘れて、歩き出す。
自由な買い物を終え、またバルバッセロに逢うことを想像しながら胸を躍らせ歩き出す。
倒れ伏した荒くれ4人の様子を見た町の人が彼らの脳天に小さな穴が空いてるのに気が付くのは彼女が去ってから暫くした後であり、もう彼女は町を出て行っていた。
後日談として、荒くれ者4人が死んだことにより、その町には平和が戻った。
貴族の親も自分の息子を殺した存在が得体の知れない化け物だと恐れて一切の報復をしなかった。
かくして荒くれ者4人の恐怖から解放された町の人達は謎の美女を崇めるのであった。
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ある程度ストックが出来たので今日、明日、明後日で連投します。
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やる気がぁぁぁ。・・・出ます。
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