区間4 兵十と加助 Part.1

 ごんは、道の片側にかくれて、じっとしていました。


◉「いきなり段落冒頭を大幅カットしましたね。あ、どうも、たぬきです」

★「100字弱の短縮です。解説のクラムボンです」


 話し声はだんだん近くなりました。それは、兵十と加助かすけというお百姓でした。


◉「第四区間、イベント条件は『吉兵衛きちべえ宅でお念仏を聞く』です」

★「ここは別名『トイレ休憩』と呼ばれてますね」


「そうそう、なあ加助。」と、兵十が言いました。

「ああん?」


◉「なぜ『トイレ休憩』なんです?」

★「お念仏イベントの発生フラグが『兵十と加助が吉兵衛宅に到着する』事なんです」


「おれあ、このごろ、とても、ふしぎなことがあるんだ。」

「何が?」


◉「つまり、彼らがのんびり話しながら歩いている以上、手が出せないと」

★「そういうわけです」


「おっかあが死んでからは、だれだか知らんが、おれにくりを、毎日、毎日くれるんだよ。」

「ふうん。だれが?」


◉「おっと! ごん左衛門選手、ここでも石を取り出しました!」

★「両手に石。オリチャー※オリジナル・チャートでしょうか」


 ごんは石をこすって「かちっ。かちっ。」と音を鳴らしました。


◉「あ、待って、めっちゃトラウマが刺激される音なんですけど」

★「これはもしや……」


「う、うわあ、ひとだまだあ。」

「は、はやく坊さんのいる吉兵衛のとこへにげよう。」

 二人はそう言って、一目散に走っていきました。


★「なるほど、『狐火』ですね。彼が意気込みで『化かす』と言っていたのはコレでしたか」

◉「あーコワ、まだ心臓がバクバク言ってますよ」


 吉兵衛きちべえというお百姓の家まで来ると、二人はそこに入っていきました。


◉「二人のセリフ後半が大幅に減りましたね!」

★「改変が入ったので字数カウントは難しいですが、少なくとも150字は短縮できていそうですよ。これは上手いですね」


 ポンポンポンポンと木魚もくぎょの音がしています。まどのしょうじにあかりがさしていて、大きなぼうず頭がうつって動いていました。


◉「しかし狐火なんて手があったなら、兵十と加助のセリフをもう少し減らせたのでは?」

★「そこもごん左衛門さんは、計算の上ですね。次の区間を見れば、その理由が分かるはずです」


 おきょうを読む声が聞こえてきました。


◉「不要描写をカットし、条件達成! 第四区間、異例の早さで攻略ですッ! クラムボンさん、如何でしたか?」

★「まさか狐火とは、盲点でした。技アリですね」

◉「よく考えたら、原作ママのストーリー展開なら『ごんだぬき』でも話が成立しますもんね」

★「『ごんぎつね』の主人公がキツネである必要性を教えてくれる。そんな走りを見せてくれました」


◉「さあ、いよいよ残りも2区間です。第五区間、『兵十と加助 Part.2』、お楽しみにッ!」

★「完走するまで、泣くんじゃない」


   ▼ 第五段落へ ▼

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る