特にやることの無い女子高生二人でできる『無駄な夏休みの使い方』

坂餅

特にやることの無い女子高生二人でできる『無駄な夏休みの使い方』

 夏休みといえばそう、冷やしキュウリだ。


「ということでキュウリ買ってきました‼」


 ひゅ~ぴょん――と背後に情けない花火が打ちあがった気がする。


 私の宣言した夏の風物詩に一同おののいているのが分かる。へっ、なにが花火だ、スイカ割りだ。きゅうりこそ至高! 年中手に入るけどやっぱり旬の夏のキュウリは更に美味しくなっている!


 どうですかね、呼音ことちゃん!


「トマト」

「なぁんだってぇ‼」


 呼音ちゃん声が小さいんだよな。トマトと聞こえた気がするけど、もしかしてトマトって言ったのかな?


「トマト! 赤くて大きくて、みずみずしい、真夏の光を浴びて育ったトマト!」

「トォマァトォだぁ⁉」


 そんな声の小さい呼音ちゃんの声を聞き逃さない私の高性能な耳が聞き間違える訳無く、呼音ちゃんは喧嘩を売ってきた。


「キュウリみたいに栄養の無い物ばかり食べているから、風莉かざりの頭はスカスカ」


 口が悪い‼ これで呼音ちゃんの声が大きかったら多分トラブル多発してると思うんだ、私は。


 でも、私の頭はキュウリみたいに栄養が無いだって? 舐めてもらっちゃ困るね!


 見せてあげよう、キュウリの栄養素を‼


「呼音ちゃんは甘いね、それこそトマトみたいに」

「ありがとう」

「キュウリはカリウムとかビタミンⅭが豊富なんだよぉ!」


 だから、食べよう! 冷やしキュウリ! 高血圧予防!


「トマトがいい」

「なぁんだってぇ‼」

「トマト! 赤くて大きくて、みずみずしい、真夏の光を浴びて育ったトマト!」

「トォマァトォだぁ⁉」





 何度も繰り返されるこのやり取り。


 これが巷で話題の、特にやることの無い女子高生二人でできる『無駄な夏休みの使い方』である。

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