地雷系女子と呼ばれた私、実は“本物の地雷”でした

@knight-one

プロローグ 地雷系ヒロイン、起爆寸前

昼休みの教室。

ざわざわとした人いきれの中、私は静かにパンの袋を開けていた。


「あいつ、また一人で食べてるよ」

「そりゃあ……あの地雷スキルだし」

「近くにいるだけで吹き飛ぶとか、さすがにヤバすぎでしょ……」


──聞こえてないふりをするのは、もう慣れていた。


私は「地雷系」と呼ばれている。

ただし、それはファッションや性格の話ではない。

文字通り、本物の地雷を生成して起爆できるスキルの持ち主なのだ。


名前は《地雷創造(ミネ・メーカー)》。

名前の時点で嫌な予感しかしないが、性能も最悪だ。


触れたら爆発。

近くにいても爆発。

敵味方関係なく爆発。


おかげで入学当初に組んだパーティは大混乱になり、

「危険人物」「自爆系女子」「ダンジョンの歩く地雷」なんて呼ばれて、

それ以来、誰も私に近づこうとしない。


……そういうの、わかってる。

だから私は、人との距離をとることにした。


べつに、ひとりでも平気。

別に、爆破しか能がなくたって──私は、私のやり方で戦うんだ。


そのとき、目の前のパンが、ぽん、と跳ねた。


あっ、ジャム出過ぎた。

やっぱりいちごジャムは危険だ。気をつけないと──


「うわっ!? な、なに爆発した!? またあの子か!?」

「違います。パンのジャムです。……でも確かに飛びましたね」


──……この世は、誤解に満ちている。

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