七月は雨上がりの後悔を街に書く

雨が上がった

水溜まりから映っていた思い出は蒸発して

消えた思い出は空に滲んで流れいった

追いかけても追いかけても

思い出は夏の向こうへ

悲しさ一つも噛み締めた

そんな七月


雨上がりの街を書いていた

夏が反射するアスファルト

涙の雫が滴る傘

過去を思い出させる快晴

その全てが苦い思い出で

置いてきたはずの後悔がなぜかここにある


「さよなら」したって消せない口癖

満足するまで書いてみた

なのに脳に染み込んでしまうその言葉

目から溢れたその雨は

虹も作らずただ言葉に滲む


夏になった街を書いていた

思い出を削るかき氷

脳を乾かす扇風機

涙と弾ける打ち上げ花火

その全てが楽しい思い出で

忘れていたはずの思い出がなぜかここにある


「ありがとう」すら解けない口癖

忘れるまで書いてみた

なのに心を溶かしてしまうその言葉

目から映ったその夏は

暑さも冷まして言葉に戻る


もう見えないっていうのに

もう追いつけないっていうのに

追いかけた

目に映る街と夏が邪魔で涙で覆った

噛み締めていた苦い悲しさも飲み込んだ


ああ、もう時効だった

だから

雨上がりの後悔をここに書いてた

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る